グレーゾーンの大学が日本で増える可能性あり
日本では、大学設置に関する文科省の方針は、事前規制から事後チェックへと大きく変化しました。設置基準を緩和する代わりに、認証評価機関による評価で質を維持する方向へと転換し、ある意味でアメリカ的になりました。
しかし、学位だけを販売するアメリカ的なディプロマミルが出てくる可能性は低いでしょう。日本では、社会人が大学に戻って学位を取り直すケースはアメリカに比べて少ないですし、学歴と社会的地位が必ずしも連動しておらず、学位の購入に魅力を感じる層が少ないからです。ただ、今後、海外の大学が参入してくれば、状況が変わるかもしれません。日本では、アメリカの大学の学位は価値が高いと見なされがちです。実際、日本の大学教員でディプロマミルの被害にあった人もいます。
極端なディプロマミルの心配は少なくても、設置基準の緩和によって、入学したら誰でも卒業できる、つまり「4年間の時間と学費で『学位を買う』」という大学が生まれる可能性はあります。もちろん、大学としての最低基準さえも満たしていないディプロマミルとは次元が違う問題ですが、学位は何を保証するのか、高等教育の質をどう維持するのかという観点から考えれば、ディプロマミルに近いグレーゾーンに属する大学といえなくもありません。こうした大学が育つ土壌をつくらないためにも、大学教育の質を保証する仕組みを整備することは緊急の課題です。
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