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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
このコーナーでは、教育のあるべき姿をベネッセ教育研究開発センターと、皆さんと共に考え、創りあげていきます。
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』は、2010年3月31日をもって、更新を終了させていただきました。
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研究員リポート
データからみる今と未来

第19回 子どもの将来と教育(1)−「社会人基礎力」の観点から考える

ベネッセ教育研究開発センター 山田剛 (2008/2/6更新)

「今の教育は、将来、子どもが社会人として幸せな生活をおくることにつながるのだろうか?」これは教育に関わるものの大きな関心事の1つのはずだ。今回は、社会人として求められる力という観点から子どもの教育について考えてみたい。「社会に出て仕事をしていく上でどんな力が求められるだろうか」「そうした力をつけていくにはどうしたら良いだろう」そうした疑問に対する材料の1つになればと考え、この問題にアプローチする。

「社会人基礎力」で企業が求めているのは「主体性」「実行力」「課題発見力」

 経済産業省の社会人基礎力研究会では、「社会人基礎力」を「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」と定義している。その研究会によれば、「社会人基礎力」には12の能力要素があり、それらを大きく3つの能力にまとめている。(図表1

図表1:社会人基礎力の12の能力要素

図表1:社会人基礎力の12の能力要素

社会人基礎力に関する研究会「中間取りまとめ」経済産業政策局資料より作成

 ここでは、この分類に基づいて実施された2つの調査結果をまず紹介する。その1つは、企業を対象に行われた「社会人基礎力に関する緊急調査」である。図表2は、その調査で報告されている企業が求めている人材像と「社会人基礎力」との関係を見たものである。グラフの割合が高いほど、該当する能力要素が求めている人材像と関係があると答えている企業が多いことを示している。

図表2:企業が「求める人材像」と「社会人基礎力」を構成する12の能力要素との関係の深さ

図2:企業が「求める人材像」と「社会人基礎力」を構成する12の能力要素との関係の深さ

社会人基礎力に関する緊急調査(2006経済産業省)
調査対象:東証一部上場企業から中堅・中小企業まで含む185サンプル

 この結果を見ると、12の能力要素のうち、企業が高い割合で求めているのは、「主体性」84.3%、「実行力」79.5%、「課題発見力」74.6%などである。経済産業省による3つの大きな分類でいえば、「前に踏み出す力(主体性や実行力など)」が高く、それに比べて「チームで働く力(発信力、傾聴力など)」に関わる能力要素については総じて低い結果になっている。

 これは企業を対象とした調査だが、自営業など、他の仕事の場合でも同じような能力が求められると考えてよいのではないだろうか。社会に出れば様々な困難に出会う。その際、物事に進んで取り組むこと(主体性)、目的を設定し確実に行動すること(実行力)、現状を分析し目的や課題を明らかにすること(課題発見力)などは、どんな仕事であっても必要となるはずだ。

大学生が自分の強みと思っているのは「チームで働く力」

 図表3は、大学生を対象にした別の調査で、同じ社会人基礎力の能力要素について、どれが自分の強みと関係が深いと思うか聞いた結果を示している。割合が高いほど、その能力要素を自分の強みとして感じている若者が多いことになる。全体として、どの項目も割合が低い印象があるのだが、上位3つをあげてみると、「柔軟性」50.6%、「傾聴力」47.5%、「情況把握力」45.4%となっている。また、特に割合が低いのは、「発信力」21.3%、「働きかけ力」23.7%、「主体性」28.9%である。3つの分類でいえば、「チームで働く力」に関係する能力要素の多くについては強みがあると思っており、「前に踏み出す力」に関係する能力要素などについては少し自信がないようである。

図表3:「社会人基礎力」を構成する12の能力要素について
若者自身が考える自分の強みとの関係

図表3:「社会人基礎力」を構成する12の能力要素について<br>
若者自身が考える自分の強みとの関係

社会人基礎力に関するアンケート(2006みんなの就職株式会社・楽天リサーチ株式会社)
調査対象:2006年3月卒業、2007年3月卒業予定の学生3,186サンプル

 この2つの調査結果は、企業が求めている能力と若者が強みと感じている能力にギャップが生まれている可能性を示している。実際、最初に紹介した企業を対象とした調査の中で、企業が若手社員に対して「主体性」「課題発見力」の不足を感じていることが報告されている。

 仕事をする上で「チームで働く力」は重要である。日本経済団体連合会が毎年発表する「新卒者採用に関するアンケート調査結果」で、選考にあたっての重視点で「コミュニケーション能力」がここ数年トップになっている。しかし、仕事をする上でのコミュニケーションとは、家族や友人関係におけるそれとは異なるところがある。たとえば、価値観が異なるメンバーを動かしたり、利害が対立する相手に協力を働きかけたり、上下関係がある中で自分の意見を通したりなどといったことが求められる。

 つまり、社会人基礎力の能力要素を使って説明すれば、「チームで働く力」は、「前に踏み出す力(主体性や実行力など)」や「考え抜く力(課題発見力など)」とセットで求められることが多い。もし、若者の自己評価のように、この面が弱いとすれば、社会で十分に力を発揮できない場合が出てくるだろう。こうした力を小さい頃からの教育で育てることが必要と思われる。
 レポート(2)では、こうした社会人として仕事で求められる力はどのようなことで育つのか探ってみたい。

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