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Benesse発 2010年「子どもの教育を考える」
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『Benesse発2010年「子どもの教育を考える」』更新終了のお知らせ

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研究員リポート
データからみる今と未来

第24回 小学生の漢字力と意識・習慣について―「小学生の漢字力に関する実態調査2007」から

ベネッセ教育研究開発センター 野村徳之 (2008/3/19更新)

 学校現場に大きな影響を与える次期学習指導要領案が、2008年2月15日に発表された。1947年に試案が公表されてから7回目の改訂となる。今回は小学5年生からの英語学習の導入や授業時数増等、小・中学校ともにいくつもの着目すべきポイントがある。そのひとつに、あらゆる学習の基盤となる「言語力」の育成に注目し、各教科で言語活動を重視したことがある。しかし、様々な教科で「言語力」を高めるための工夫がなされていくとしても、言語活動を行うにあたり、どれだけの語彙を持っているか、多くの表現の仕方に精通しているか、漢字を読め、書くことができるか、が大切であることに変わりはないだろう。すなわち、言語力と密接な関係にある国語学習の重要性は減じないと思われる。

 現行の学習指導要領の漢字学習の示され方に、「各学年においては、学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また、当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き、文や文章の中で使うとともに、当該学年に配当されている漢字を漸次書けるようにすること」とある。しかし、上の学年に移行された書きが、果たして次の学年で習得されたかどうかは、ふつう確認されない。ゆえに、その実態を確認すること自体に意味があると考えた。また、漢字力の高低により、国語に対する抵抗感や好き嫌いといった意識や、読書等の習慣が大きな影響を受ける。あるいは逆に意識や習慣が、漢字力の高低に影響を与えていると考えられる。

 では、その実態はいかなるものなのか。ここを明らかにするべく行った「小学生の漢字力に関する実態調査」より、全体の結果と正答率に関連が見られた習慣に関し、報告する。

*今回の調査は、
・各学年配当漢字を全て出題し、「漢字力」を、実際にそこで書けるか否か(漢字テストの正答率)で
 「高低」を示した。
・「書き」の問題なので、現行学習指導要領に従い、次学年に進級した児童(生徒)が回答している。
 (例:1年生問題⇒2年生が回答。よって6年生問題は中学1年生が回答)

1年生と2年生、4年生と5年生の間の正答率に断層がある

図表1:漢字テストの正答率、誤答率、無答率(学年別)

図表1:漢字テストの正答率、誤答率、無答率(学年別)


 全体の結果(図表1)は、正しく回答されていた「正答率」が57.9%、なんらか誤った回答であった「誤答率」が23.9%、まったく回答されていなかった「無答率」が18.2%であった。学年別に見ると、1年生で62.6%だった正答率が、2年生で59.0%と3.6ポイント下がっている。また、4年生では58.7%であった正答率が、5年生では54.2%と4.5ポイント下がっている。1年生と2年生、4年生と5年生の間に、他よりも減少幅が大きい「断層」があるといえる。

 今回の調査の監修を務めた日本国語教育学会理事の河西泰道は、「全体の正答率が57.9%と60%を切っているのは、低い印象を受ける。これは、誤答か正答かを13の観点(※1)で厳しく見たことと、漢字配当学年では習わない読みでも、小学校6年間で学習する読み方は漢字を書かせるべく出題した(その時点では習っていない読み方が問題文として出題されているケースも存在する)ことに留意されたい」としている。また、教科書によって、文字の読み替えの扱いが同一ではないことにも言及している。

 ※1 誤答の観点は「小学生の漢字力に関する実態調査2007」をご確認下さい。

学校任せではなく、家庭でも「国語力・漢字力」を高めたい

 結果からは、その漢字は知っているが、その年齢の子どもの生活にはなじみのうすいと思われる言葉の正答率が低いことも確かめられた。
(例 木(き96.2%、モク90.2%、ボク40.9%、こ3.3%)のように、「こ(の葉)」となると解答できなくなるケースがある)

 私たちの暮らしの中にはいくつもの言葉、言い方がある。その多様さ、面白さがある。そのことを子どもが面白いと思えないから、漢字力につながっていない面が確実にあるだろう。

 いくつもの言葉、言い方、その多様さ、面白さ、これらに気づかせることは「学校に限らず、家庭においても行える」と河西は言う。例えば、「リビングのテレビのそばに、国語辞典を置いておく。番組で不明な言葉があり、子どもが「どういう意味?」とたずねて来る際に、すぐに意味を教えず、辞書を引かせる。そこで自ら理解する。わかると嬉しい。この繰り返しで国語力も漢字力もずいぶん違ってくる」と。

図表2:漢字テストの正答率(読書中の読めない字の対処方法別)

図表2:漢字テストの正答率(読書中の読めない字の対処方法別)


 事実、「意識・習慣調査」で、「読書中に読めない字があったときにどうするか」の回答別の漢字テストの結果を見ると、「自分で辞書を引く」と回答した子どもの正答率が高かった(図表2)。自分で辞書を引く子は「漢字を書く力」があると言えるのである。

 このほかにも、保護者の生活習慣や子どもへの関わりが、「国語」に対する意識や漢字力などにさまざまな形で影響している様子が、調査からは明らかになった。ぜひ報告書をご覧頂きたい。

 学習指導要領がいかに改訂されようとも、学校と家庭の熱意と工夫の両輪が、子どもの教育に不可欠であることは変わらない。今回の調査結果はそう示唆していると考える。

※ その他、学年ごとの漢字テスト、「意識・習慣に関する調査」結果の詳細は、「小学生の漢字力に関する実態調査2007」をご確認下さい。



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