BERD 2006 No.5
【特集】
インタビュー
profile
松川禮子
岐阜大学教育学部教授
まつかわ れいこ

岐阜大学教育学部教授・副学部長。
専攻はカリキュラム研究及び英語教育。
これまで文部科学省教育研究開発企画評価会議協力者として、各地の小学校英語活動の実践事例を見てきた。
著書に『小学校英語活動を創る』(高陵社書店)、『明日の小学校英語教育を拓く』(アプリコット)などがある。
Refarences
●『明日の小学校英語教育を拓く』松川禮子著/アプリコット/2004年
●『小学校での英語教育は必要か』大津由紀雄編著/ 慶應義塾大学出版会/2004年
●『「教えない」英語教育』市川力著/中央公論新社/2005年
BERD
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「小学校の英語活動」の到達点とこれからの課題
──コミュニケーションを重視した英語活動の可能性を探る──
松川禮子[岐阜大学教育学部教授]

松川禮子
 松川禮子先生は、これまで全国各地の小学校英語の実践事例を数多く見てきた、現場の様子を最も知っている研究者の1人だ。
 また中教審外国語専門部会に委員として関わられ、その審議過程は3月末に「小学校における英語教育について」と題されたレポートとしてまとめられた。
 そんな松川先生に、中教審における審議状況と、小学校英語の可能性や今後の方向性について語っていただいた。
外国語専門部会のレポートで必修化が決まったわけではない
 今年3月、中央教育審議会外国語専門部会が「小学校における英語教育について」と題して審議の状況を取りまとめたとき、新聞やテレビは「小学校英語が必修化の方向へ」といった取り上げ方をしました。私は外国語専門部会の委員として、この報道に違和感を覚えました。
 審議状況のレポートをきちんと読んでいただければ分かるのですが、外国語専門部会では「必修」については慎重な表現を使っています。例えば、小学校における英語教育について共通の教育内容を設定することに対して、「英語よりも他の教科をしっかりと学んでほしい」、「子どもの負担が増える」といった反対意見があることを取り上げ、「こうした観点については、教育課程部会において、各教科等を見渡した立場で総括的に検討されるべき問題であり、小学校における英語教育を必修とするかどうか、教育課程上の位置付けをどうするか、授業時間をどのように設定するかが決定されるべきものであると考える」としています。
 つまり、外国語専門部会としては、教育の機会均等の観点からも、共通の教育内容を設定することを検討する必要があると考えるが、必修化するかどうかについては、教育課程全体を見渡す立場にいる教育課程部会に検討を委ねたい、という立場をとったわけです。
 ところが、マスコミは、あたかも「小学校英語が必修になることが決まった」かのような報道をしました。センセーショナルに報じたい気持ちは分からなくもありませんが、私としては「レポートのもっと違う部分に注目してほしかった」という思いが残ります。
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