BERD 2006 No.7
【レポート】
profile
島田研児
ベネッセ教育研究開発センター研究員

BERD
   PAGE 1/4 次ページ

高校入試におけるPISA型学力分析について
──「読解力(読解リテラシー)」と国語入試問題──
島田研児[ベネッセ教育研究開発センター研究員]

 第3回目となるPISA調査が、2006年に実施された。
 今回は「科学的リテラシー」が重点的に調査され、結果・分析は2007年の報告を待つことになる。
 これまで2000年、2003年と3年おきに実施されてきたが、2003年においては「読解力」の分野で日本が14位になり、「読解力の低下」が叫ばれるようになった。
 文部科学省から「読解力向上プログラム」が発表され、国がPISA型読解力の育成に注力しつつある今、同じ義務教育終了段階で行われる全国の高校入試では「PISA型学力」がどのように測られているのか、「読解力」を中心に分析を試みた。
PISAをめぐる動向
図表[1]2000年度と2003年度のPISAの日本の順位 2000年にPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の最初の調査が行われ、32カ国約26万5000人の15歳児が参加した。日本も全国の高校1年生約5300人(133校)が調査に参加し、「読解力(読解リテラシー)」を中心分野として、数学的リテラシー、科学的リテラシーを合わせた3分野を調査した。続いて、03年に2度目の調査(41カ国・地域約27万6000人の参加。日本からは4700人。数学的リテラシーを中心分野として、読解力、科学的リテラシー、問題解決能力の4分野について調査)が行われた。その結果は図表1の通りである。
 日本は「読解力(読解リテラシー)」において、過去2回の実施の結果、共に2位グループであり、特に順位だけを見ると03年度は00年度に比べて6位下がった。そのため、国内ではPISAショックが起こり、「読解力」の育成が叫ばれるようになった。文部科学省は05年12月に「読解力向上プログラム」を発表し、以下のような目標と戦略を示した。
 「読解力向上プログラム」  
各学校で求められる改善の具体的な方向〜3つの重点目標〜

 各学校においては、教科国語を中心としつつ、各教科、総合的な学習の時間等を通じて、次のような方向(3つの重点目標)で、改善の取組を行う必要がある。
目標1 テキストを理解・評価しながら読む力を高める取組の充実
目標2 テキストに基づいて自分の考えを書く力を高める取組の充実
目標3 様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする機会の充実
文部科学省や教育委員会の取組
〜5つの重点戦略〜
  文部科学省では、教育委員会と連携しつつ、上記目標1〜3で示した各学校におけるPISA型「読解力」の向上に関する具体的な改善の取組を支援するため、次のような施策等(5つの重点戦略)に積極的に取り組むこととする。
戦略1 学習指導要領の見直し
戦略2 授業の改善・教員研修の充実
戦略3 学力調査の活用・改善等
戦略4 読書活動の支援充実
戦略5 読解力向上委員会(仮称)
 [出典:『読解力向上に関する指導資料』文部科学省(東洋館出版社)]
 
 これら3つの重点目標と、5つの重点戦略の内容で、特に注目すべき点を整理して以下にまとめた。
1. PISA型「読解力」として強化すべき点は「解釈」「熟考・評価」「自由記述」「さまざまな文章や資料の読解」
  重点目標で挙げている3点はPISA調査の結果、日本の生徒が苦手とされる分野・慣れていない分野に対応したものである。
2. PISA型「読解力」育成のために学習指導要領が見直される(PISA型「読解力」の内容が指導要領に反映される)可能性がある  
3. PISA型「読解力」を問う問題が、高校・大学の入学者選抜試験で測られるようになる可能性がある
 重点戦略3においては、「現在、地方で独自に実施している学力調査や高校・大学の入学者選抜試験の学力検査問題についても、知識や技能だけではなく、それらの活用力も重視する方向で改善が図られるよう、各種会議等を通じて、PISA型『読解力』の定義や特徴、公開問題等について積極的に周知する」とある。
 このような状況の下、現状の指導・評価では「PISA型学力」、特に「読解力」がどの程度養われ測定されているのかという疑問が起こる。日本の子どもが特に苦手とする「熟考・評価」「さまざまな文章や資料の読解」などの問題が、現状の高校入試では出題されていないのか、また出題されているとすればどの程度の頻度・レベルなのかという観点から、05年度、06年度の全都道府県の高校入試をもとに出題内容の分析を行うことにした。
   PAGE 1/4 次ページ
研究者(BERD)TOPへ戻る 2006年度バックナンバーへ戻る