特集 カリキュラムから考える小中連携
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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中学校教師の専門性を小学校でも生かすべき

  中学校は小学校とどのようにかかわり、連携していけばよいのでしょうか。
  構造改革特区の認定や文部科学省の研究開発学校の指定を受けている学校の中には、4・3・2制や5・4制、3・4・2制のカリキュラムを組んでいる学校もあります。例えば、4・3・2制の学校では、最初の4年間は学級担任制でも、次の3年間では選択教科を中心に教科担任制を導入しているケースも見られます。
  前述のように、小5、小6では、抽象的・論理的思考力が高まり、「どうしてその答えになるのか」「なぜそうなっているのか」ということに関心を持つようになります。そこで、中学校の免許状を持つ教師が、教科担任として小5、小6を教えることで、彼らの関心に即した授業を行うことを狙うわけです。実際に教科担任制で授業を受けている子どもの多くが、授業ごとに教師が替わることを肯定的に評価しているというデータもあります。中学校教師が、教科担任として小学校高学年の授業に加わることで、子どもの学習意欲や学習効果の向上が期待できるのです。同時に、未来の中学生である小学生と接することで、中学校での授業改善や生活指導でのヒントが見えてくるというメリットもあります
  中学校教師が小学校で教えるには、現行制度では教育委員会の兼務発令が必要で、普通の学校にとっては大きな壁が立ち塞がっているのが現実です。しかし、9年間を見通した義務教育カリキュラムを実践していくためには、中学校教師が日常的に小学校で教える場面を設定することが重要となります。
  少なくとも、中学校教師と小学校教師によるカリキュラム研究会や授業研究会等の開催が不可欠です。教育の地方分権が進むことで、小中の結び付きが加速することを期待します。


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