地方分権時代の教育行政 栃木県宇都宮市

栃木県 宇都宮市立一条中学校

栃木県 宇都宮市立一条中学校

1947年開校。48年からJRC(青少年赤十字)に参加し、地域内での清掃活動や、校区の小学校運動会のボランティア、学童保育のボランティアなどに積極的に取り組む。

校長●山市 隆先生

生徒数●451名

学級数●18学級(うち特別支援学級4学級)

所在地●〒320-0821 栃木県宇都宮市一条1-4-7

TEL●028-633-0401

FAX●028-633-0438

URL●http://www.ueis.ed.
jp/school/itijo-j/

公開研究等の予定●11月2日(金)公開授業研究発表会


山市隆

▲宇都宮市立一条中学校校長

山市 隆
Yamaichi Takashi
水口武雄

▲宇都宮市立一条中学校

水口武雄
Mizuguchi Takeo
研究主任。学習指導主任。 教科は数学。
*本文中のプロフィールはすべて取材時(07年3月)のものです
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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[実践事例]

栃木県 宇都宮市立一条中学校

「確かな学力」を育てるため
教師と家庭の指導力を高める

市の学力調査と研究授業で指導力を向上

 一条中学校では、「確かな学力」の育成を研究事業のテーマとしている。社会の変化に対応した先駆的な教育研究を行い、教師の指導力向上を図る「いきいき学校研究推進校」として宇都宮市の指定を受け、ほかにも国や県の研究指定を受けている。一方、開校当時から積極的に地域のボランティア活動に参加し、清掃事業や地域行事への参加など、全人教育にも力を注いできた。
  山市隆校長は、「本校の取り組みは、『確かな学力』と『人間力』を育てる『うつのみや“いきいき学校”プラン』と一致する部分が多くあります。この『うつのみや“いきいき学校”プラン』を、本校ならではの教育に当てはめて作成したのが、『一条中学校の教育』(図1)です」と説明する。

図1

  「一条中学校の教育」では、確かな学力を育成する「知育」、豊かな心を育てる「徳育」、健康な身体をつくり、体力をつける「体育」を3つの柱とした。今回は、特に「知育」に焦点を絞って紹介する。
  「知育」に関しては、教師の指導力向上に取り組む2つの活動がある。1つは、小学校の教師との連携だ。一条中学校には、6つの小学校から生徒が入学してくるが、そのうち宇都宮市立西原小学校と、小中連携の研究事業を行っている。生徒が中学校の学習方法にスムーズに移行できるように指導をする上で活用しているのが、宇都宮市教育委員会(以下、市教委)が実施する「学習内容定着度調査」だ。研究主任・学習指導主任の水口武雄先生は次のように説明する。
  「調査の結果、小6の段階で基本的な学習内容につまずきがあることがわかった子どもについては、小学校にその課題を一人ひとりレポートにまとめてもらっています。そのレポートに基づいて、中学校の学級担任や教科担当が話し合い、その子どもに対する指導方法を決めます。生徒一人ひとりの指導目標があらかじめ立てられるので、中学校の学習にスムーズに入ることができます」
  もう1つは、ほぼ月1回のペースで開催している研究授業だ。研究授業には市内の小・中学校の教師が参観し、授業評価シートに記入する。そして、それを基に授業研究会で意見を出し合うのだ。併せて、生徒からの授業評価も行っているが、ほとんどの生徒がコメントを書き込んでおり、教師が気づかされることもあるという。
  「当初、教師から出てくる意見は当たり障りのないものが多かったのですが、回数を重ねるうちに褒めているだけでは改善につながらないという意識が芽生えてきました。今では、生徒に声をかけるタイミングや板書の方法など、具体的な指摘が多くなりました。観点を定めて話し合うことで授業を見る目も確かになってきました。何より授業を見せることに抵抗がなくなったことも収穫でした」と、水口先生は言う。
  山市校長も、「研究授業を行うことで、『生徒に自分で考えさせるための方法をきちんと説明したか』『もっと教師がリードすべきだったのではないか』などという議論も活発になりました」と、効果を語る。


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