特集 データでひもとく学習指導の「いま」と「これから」
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「確かな学力」の理念を確認しカリキュラム・教材研究を

 学習指導要領の改訂に伴う新教育課程の実施はまだ先だ、と考える人もいるかもしれません。しかし、12年度の施行となれば、09〜10年度には移行期間が始まります。移行措置要領が告知されるのは、今春の予定です。つまり、準備開始の時期は目前に迫っているのです。前回の改訂では学習内容が削減されましたが、今回は増加されますから、より多くの備えが必要です。準備は明日から始めても早すぎることはありません。

■「確かな学力」の理念の確認
 まず、冒頭で述べた「確かな学力」の理念をしっかり確認してください。基礎・基本の徹底へのこだわりが一部の教師にあるように見受けられますが、それは改める必要があります。関心・意欲に偏った指導も同様です。今までの指導を否定するわけではなく、あくまでもバランスが肝心なのです。基礎・基本を身につけさせる際にも、小テストやドリルの繰り返しだけではなく、「こうしてみたら面白いよ」などと、生徒の関心や意欲を喚起し、学習へと誘う指導を重んじれば、効果は違ったものになるでしょう。

■カリキュラム・教材研究
 今、お伝えしたような根本となる考え方を押さえた上で、カリキュラムおよび教材の研究を進めてください。現行の学習指導要領と比べて、どの学年にどのような内容が追加されたのかを全校を挙げて研究し、それに沿ってカリキュラムを組み立て直し、新たに教材も開発する必要があります。
 その際に注意してほしいことは、これまでの「発展的な内容」の多くが学習指導要領の最低基準の中に含まれることになるため、発展的な内容は更に高度になることです。いち早く、新たな発展的内容を把握するための情報収集を心がけてください。教科書会社の資料にも目を通すとよいでしょう。
 自分の担当学年だけではなく、ほかの学年も含めて3年間を俯瞰(ふかん)するつもりで改訂のポイントを押さえるのも重要です。どのような流れの中で生徒を引き継ぎ、次学年につなげていくのか。そうした視点が教育効果を高めるからです。

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