記念特集 中学校教育のこれまでとこれから

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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通塾率は大きな変化なし

 続けて、通塾の状況を確認しよう。同じ調査で中学2年生の通塾の状況を見たのが、図2である。ここからは、通塾率や通塾している場合の日数が大きく変わっていないことがわかる。通塾率は地域によって異なるが、『モノグラフ・中学生の世界』Vol.1では、文部省(当時)のデータを引用して、1977年時点で全国的に4割の中学生が塾に通っていることを伝えている。全体として1980年前後の中学生は、相当量の学習をしていたようだ。

図2
注1:1983年調査は、『モノグラフ・中学生の世界』Vol.15(学業成績〜生徒たちは成績の良し悪しをどうとらえているか)から中学2年生の数値を抜粋した。また、2004年調査は、『第1回子ども生活実態基本調査』から中学2年生の数値を抜粋した。いずれも「無回答・不明」を除外して数値を算出した。
注2:2004年調査では、通塾日数が通塾の有無についての設問のサブクエスチョンである。

 こうした過剰ともいえる学習の背景として、当時、受験競争が激化していたことが挙げられる。1980年代の中学生は、第二次ベビーブームに生まれ、当該人口が増えていった世代である。それまで急速に伸びていた大学・短大の進学率が4割の手前で頭打ちになり、浪人生が増える状況にあった。このために中学生や高校生の多くが受験を意識した勉強をしていたが、一方で、子どもたちの勉強のしすぎや詰め込み教育が社会問題になっていく。


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