記念特集 中学校教育のこれまでとこれから
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学習に対する教師の関与は増大

 ここ数年で、中学校教師の教育観も変化している。図10はAとBで対にした教育観のうち、あえていえば重視していると思う方を選んでもらった結果である。

図10
注1:1997年調査は『第1回学習指導基本調査』、2007年調査は『第4回学習指導基本調査』。
注2:「無答・不明」は図から省略したため、AとBの合計は100%にならない。

 (1)「内容の扱い」に関しては、1997年調査では「教科書や指導要領の内容を、とにかく最後まで扱うこと」と「一通り終わりまでやれなくても、基本的な考え方を身につけさせること」が拮抗していたが、2007年調査では前者が20ポイント以上増えた。
 (2)「学習のさせ方」に関しては、いずれの時点でも「自発的に学習する意欲や習慣を身につけさせること」が多いが、2007年調査では「たとえ強制してでも、とにかく学習させること」が増加している。
 (3)「学力の伸ばし方」は、1997年調査では「得意な教科や領域の学力を伸ばすこと」が6割と多数派を占めていたが、2007年調査では「不得意な教科や領域の学力をつけさせること」が6割になった。
 (4)「教師のかかわり」では、「子どもの持っている可能性が開花するのを、支援すること」に対する支持が減り、2007年調査では「一人前の大人になるために必要なことを教え、訓練すること」の方が多くなった。
 全体的に、すべての教科・領域について、一定以上の学力を身に付けさせることを重視する傾向が強まっている。それは、生徒自身の自発的な意欲に任せるだけでなく、教師が強く働きかける必要性を感じるようになっている。こうした意識の変化は、「確かな学力」の育成が求められるようになったことが原因の一つになっていると考えられる。

<出典>

 モノグラフ・中学生の世界:一覧(1978〜2004)

 第4回 学習基本調査・国内調査 中学生版

 第4回 学習指導基本調査

 第1回 子ども生活実態基本調査報告書


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