記念特集 中学校教育のこれまでとこれから
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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現任校での日々が自分を変えた

 生徒指導には教師間のチームワークが大切だと気づいたのも、そのころでした。以前はだれかが結果を出すたびにうらやましく思い、ほかの先生と違う指導をすることが、何か特別なことをしたように誇らしく感じていました。そうしたことでしか教える喜びを感じられなかった自分が、今では恥ずかしく、また生徒に申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
 今は、学校・学年団の教師が声をかけ合い、同じ方針で指導するよう心がけています。生徒に同じことを注意するにしても、どの先生が話すかによって効果が大きく変わることがあります。また、厳しく叱るべきか、話をじっくり聞くのがよいのかは、生徒それぞれの個性やその時々の状況によって異なります。教師が自分の持ち味を発揮して協力し合えば、生徒をもっと多面的に捉えることが可能だと気づいたのです。
 こうした心境の変化は、本校の置かれた環境によるところが大きかったと思います。本校は県内でも指導上の厳しい課題を持った学校の一つでした。以前は、授業放棄や器物破損、喫煙が横行し、けんかも多く、ときには校舎から机が降ってくるという厳しい状況もあったと聞いています。そうした学校で指導をするうちに、自分1人では太刀打ちできない、何か大きなものと対峙(じ)しているような気持ちが強くなっていったのだと思います。


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