課題にフォーカス
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地域の理解を得るために市民を対象に学校公開

 同校が荒れていた時代、地域からの学校に対する不信感は強かった。そうした良くないイメージを少しでもぬぐい去り、学校を理解してもらおうと、地域に対する広報活動にも力を注いでいる。
 例えば、03年度に生徒による年少者への読み聞かせボランティアや清掃ボランティアなどを始め、04年度には学校の取り組みを紹介するパンフレットやホームページなどを作った。佐藤校長自らが地域に出て、直接、住民に理解と協力を訴えることもあった。
 こうした活動の一環として、06年度には地域住民を対象に学校公開を行った。地域住民向けの学校公開と言えば、自校を会場にして行うのが一般的だ。ところが、同校は佐賀市の公共施設を会場にし、生徒会の活動発表や公開授業などを行った。学区内だけではなく、学校の目標や課題を広く市民に知ってもらおうとしたのだ。案内や運営は生徒が務め、頑張る姿をアピール。好評のうちに終了し、地域の理解と協力を得るきっかけになった。
 「多くの方から好意的な感想や大きな称賛が寄せられました。これが、生徒への大きな『承認』になりました。地域の方々の学校を見る目は確実に変わっていき、『荒れた学校』から『地域の誇りの学校』へと意識は少しずつ変化していったようです。生徒に積極的にかかわろうとしてくださる方が乗数効果的に増えていきました」(空閑先生)
 08年度は、県民ホールを1週間借りきって、生徒全員が描いた絵を展示する「絵で見る元気あふれる学校展」を開催した。それぞれの絵の下には、教師や保護者が書いた展示作品に対して頑張りをたたえるメッセージを添えた。「承認」の大切さについて、地域に発信するという趣旨もあった。
 この展覧会では、作品の搬入や展示、会期中の受付などは、保護者が担当した。
 「保護者に協力を依頼する時には、ただ『手伝ってください』と言うのではなく、活動のねらいをきちんと説明しました。活動が生徒にとってどのような効果があるのか、その趣旨が理解できれば、積極的にかかわってくれます。会場の設営を手伝ってくれた保護者の多くは、会期中も絵を見るために来場してくれましたし、受付担当の保護者は、来場者に『応援メッセージ』(図4)を書いてもらうための説明をいとわずにしてくれました」(佐藤校長)

図4

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