静岡産業大学の国際交流のもう一つの特色は、外部への情報発信に力を入れていることだ。交流の様子や留学生に対して寄せられた支援の詳細をまとめた広報誌『磐田キャンパス国際センターだより』は、開学11年目で54号を数え、近年は年７、８回発行している。当初は留学生への連絡用に配布していたが、国際交流の輪が広がるに伴い、活動状況を学外に伝える広報誌としての性格を強めてきた。現在では行政機関、交流団体や支援者のほか、日本語学校にも継続的に送付している。
　「日本語学校に定期的に送り続けたことが募集広報でも効果を挙げた。国際交流が盛んに行われているのは、地域で留学生が受け入れられている証拠。その様子を伝えることで、日本語学校に通う全国の留学生の間で本学の知名度が高まった」（大原前所長）
　知名度の上昇は、留学生枠の競争率の上昇とレベルアップをもたらした。05年度の実質競争率は3.4倍。留学生にとってのセンター試験ともいえる「日本留学試験（日本語）」の成績を見ると、全国受験生の平均点が約220点だったのに対して、静岡産業大学経営学部の一般入試合格者の平均は261点に達した。
　優秀な留学生の入学は、日本人学生にとってよい刺激になっている一方、大学のイメージアップにも結び付いている。国際センターが留学生を巻き込んで進めてきた国際交流で、大学全体に大きなメリットが生まれた。
　国際センターは05年度、所長と職員による従来の３人体制から、事務長（学生課長と兼務）を加えた４人体制へと組織を強化する。今後も、地域での国際交流活動を一層推進していく方針だ。