特別企画 キャリア教育は期待はずれ

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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難易度の高い大学ほど厳しい評価が示される

 学生の満足度は、大学の入試難易度による違いがあるだろうか。これを知るため、ベネッセの進研模試のデータとクロス集計して分析している。先に挙げた7項目のうち、「大学全般」と「進路支援の体制」について、(図表1)で示した。合格者平均偏差値53以上58未満は首都圏の中堅私立大学、58以上63未満は地方国公立大学クラス、63以上は旧帝大クラスのいわゆる「難関大」が多数を占めている。

図表

 「大学全般」の満足度は、難易度が上がるにつれて上昇している。一般的にいわれる「難関大に入った学生の満足度は高い」という傾向を裏付ける結果となった。
 しかし、「進路支援の体制」については、難易度が上がるにつれて、満足度が下がる傾向にある。これについて報告書では、「難関大ほど就職や進学といった出口にあたる部分の教育が学生にとって不十分であることがうかがえる」と述べている。
 進路支援に関しては、難易度が高い大学の学生ほど、期待と実態にギャップを感じる傾向があるという結果も出た。調査では、「大学入学前に考えていた大学生活、大学に対するイメージと比べて、現在ギャップを感じることがあるか」という質問をしている。「進路支援の体制」については、全体で22.4ポイントがギャップを感じると回答。偏差値48以上53未満の肯定指数18.5に対し、63以上では26.4で、8ポイント近い開きがあった。
 これらの結果から、特に「難関大」では、進路支援に対して受験生が何を期待しているか把握した上で、体制を充実させることが、学生満足度向上のカギになるといえそうだ。


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