特集 ―学校教育法改正を入り口に―教員組織をどう活性化するか

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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―学校教育法改正を入り口に―
教員組織をどう活性化するか

教育・研究の主体となる助手を「助教」として自立させ、教授ポストにつながるキャリアパスの中に明確に位置付ける――。助手の位置付けの見直しを中心に、教員組織に関わる制度が改正された。大学は、教員組織は、そして教員一人ひとりは、これをどう捉えて対応すべきなのか。制度変更の理念を先取りするような改革事例を参考にしながら、考えてみたい。

【解説】

問題点がどのように整理・議論され制度はどう変わるか

2005年7月、学校教育法が改正され、大学の教員組織に関する規定が変わった。大学設置基準も年内に改正される見通しだ。これらは、どんな議論を経て、何を目的にした制度変更なのか。大学が対応する際の留意点と併せ、解説する。

助手の位置付けに問題

 教員組織に関わる制度の見直しは、学校教育法と大学設置基準等の改正で具体化される。主な内容は、(1)「助教授」を廃止して「准教授」を設ける(2)現在の「助手」を二つに分け、主として教育研究を担う者を「助教」とし、教育研究の補助を主たる職務とする者を引き続き「助手」と呼ぶ(3)講座制の規定の削除―の3点である。教員組織に関わる変更は、大学運営に大きな影響を及ぼすため、周知と準備に必要な期間を置く目的で施行は2007年度とされた。
 今回の改正は、中央教育審議会大学分科会の「大学の教員組織の在り方に関する検討委員会」(委員長=安西祐一郎慶応義塾長)が、05年1月に出した「審議のまとめ」に基づいている。大学の関心が特に高く、組織運営への影響が大きいのは、助手の位置付けが抜本的に見直されたことだろう。
 助手については、制度上の位置付けがあいまいな上、職務の実態は多種多様であるなど、若手教員のポストとしての様々な問題点が指摘されてきた。改正前の学校教育法は、「助手は、教授及び助教授の職務を助ける」と規定。 しかし、実際には、教授を目指して研究に従事する者、補助的な職務に専念する者、主体的な研究と補助の両方をこなす者など、様々なタイプの助手がいるといわれる。
 国際的通用性の観点から、「助手」という名称の不都合を訴える大学関係者は多い。助手の留学先に提出する推薦状などの書類を書く際、肩書を英語で直訳すると、独り立ちした研究者とはみなされず不利な誤解を招いてしまうというのは、典型的な例だ。


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