特集 教員養成システムの論点

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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3割以上の実践研究を

 教員養成を専門家教育として確立させるためには、教育理論を踏まえた上で教育内容や教育方法を高度化するためのカリキュラムを開発し、実践する必要がある。専門家教育の本質は「理論と実践の統合」にある。医師教育においては臨床研究、弁護士教育においては判例研究が専門家教育の中核を構成しているように、教師教育においても、教育実践や学校改革の事例研究(実践研究)が、専門家教育のカリキュラムの中核に位置付けられなければいけない。
 教員養成に必要なのは、「4割の実務家教員」ではなく、「3割以上の実践研究」なのである。実践研究は、各教科分野における最先端の研究と教育学の研究とを結合させた領域として成立する。それがなければ、専門家教育としての機能を果たさないし、教職の高度化の要請に応えることもできない。
 現在、教育学専攻を置く大学院は90以上存在し、課程認定を受けている大学院の専攻は380も存在する。問われているのは、わずかの教職大学院を設置することではなく、これらの大学院で教育の専門家としての資質と力量を備えた教員の養成と再教育を実現することである。その改革も新たな出発の時を迎えている。


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