大手前大学は、社会人としての基本的な能力の育成を求める社会の期待に応えるため、大学改革を徹底してきた。その一つが、学部・学科を単位とする従来型の縦割り教育からリベラルアーツ型教育への転換だ。リベラルアーツ型教育は、いわゆる一般教養のことではない。専門教育・一般教育という枠組みを根本から改め、学士課程全体を教養教育として位置付ける。その目標は、学生に、健全な市民として生きていくための自主性や判断力、常識などを身に付けさせることにある。
具体的な指針は、「社会人基礎力の養成」と「自分でつくる専門性」の2つだ。学長の川本皓嗣氏は「何度も会議を開き、これらを指針にすることを全学に確認した」と話す。科目選択の自由を標榜(ひょうぼう)しても、従来型の履修制度では、学部・学科の壁が立ちはだかり具現化が難しい。川本氏は、「2大指針を全学の協議で明確にし、すべての教職員が共通の認識を持つことによって、学部間の障壁を超えたリベラルアーツ型教育の実践に成功した」と言う。
この教育理念の実現に向け、2007年、それまでの2学部を3学部に改組。同時に学部の壁を限りなく低くし、入学後の幅広い学びと深い専門学習を共に可能とした。 |