特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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CASE6 教養系学部設置

「自然と対話する科学」を核とする新学部で
全学の教養教育を底上げ

名城大学


名城大学は、自然と人間とが対話するサイエンスを基礎としたリベラル・アーツ型教育を実践する
「科学コミュニケーション学部(仮称)」を2010年度以降に開設する準備を進めている(構想中)。
21世紀の社会に必要とされる新たな科学の素養を備えた人材を育成するとともに、
将来的には、全学的な教養教育の改善に責任を持つ学部にする考えだ。

学長の意向を受け教養教育再構築を検討

 1991年の大学設置基準の大綱化以降、教養教育が手薄になっていたのは名城大学も例外ではない。2007年、学長の下山宏氏から、全学的な教養プログラムの立て直しという課題を提示された副学長の池田輝政氏は、検討を重ねた結果、総合大学として教養教育の底上げを図るには、教養系の新学部設立が適切という結論に達した。その理由について、池田氏は次のように説明する。
 「新しい教養プログラムをデザインし、担当教員を配置して運営するためには、相応の組織が必要になる。本学の場合、専門学部のイニシアチブが強いため、各学部から教員の代表が集まる委員会方式によって教養プログラムを運営するには限界がある。特定の学部が教養教育に責任を持つ方式の方が、学長からの課題を解決できると考えた」。
 現在、教養教育に当たる「全学共通教育科目」は、年間でおよそ1000科目が開講されている。これまでに、教養教育改革の布石として、各学部の教員から成る委員会が運営する「全学共通プログラム」で対応してきた。短期的には全学共通プログラムの見直しによって教養教育を改善、将来的には、新学部を全学的な教養教育のコントロールタワーにして、担当教員の配属やカリキュラムの整備を進めていくのが、下山氏の構想だ。


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