社会や企業との連携という基本方針の実践に特に力を入れているのが現代ビジネス学部。地元の企業等の協力を得て、実社会で求められる能力の育成に取り組む。２年次前期の専門科目「フィールド・リサーチ」および後期の「アクション・ラーニング」では、個々の学生が県内で現地調査を実施する。その結果をふまえ、チームごとに「新山梨ブランド商品」のプランを立案。実現のために協力を仰ぎたい地元企業との交渉を経て、学内でプランのプレゼンテーションをする。そこで１位となったプラン（チーム）が代表となり、経済産業省主催の「社会人基礎力育成グランプリ」に応募する。
　この授業のもとになるのが、2008年度、課外活動として実施され、経産省の「産学連携による社会人基礎力の育成・評価事業」に選定された特別講座だ。地元名物のほうとうをデザートにアレンジした「でざほ」を企画したチームが、試作の結果１位に選ばれ、この年の社会人基礎力育成グランプリ全国大会に出場。見事優勝した。

　特別講座を履修した学生による社会人基礎力の自己評価では、講座の中盤までの伸びに比べ、後半の伸びが鈍い。教員と協力企業による評価では後半も大きく伸びているといい、自己評価の厳しさがうかがえる。これは、プロジェクトを進めるにつれ、自分の経験・知識の浅さを痛感するからだという。社会人とのかかわりやグループワークで壁を一つずつ乗り越えることにより、成長を自覚できるようになる。
　こうした取り組みが社会人基礎力の育成に有効と評価され、2009年度からの専門科目化につながった。　社会との接続を４年間の学びのゴールに据え、入学から卒業までに最大限の伸びを助長する。その伸びは、社会のニーズに応えるための成長であると同時に、学生の潜在能力の顕在化と自己形成、自己実現にもつながる。
　山梨学院大学の取り組みは、新しい競争力創出に求められる視点を提起しているといえそうだ。