学士課程教育体系化のステップ

佐藤浩章

佐藤浩章

さとう・ひろあき 北海道大学大学院博士課程単位修得退学。2002年より愛媛大学に勤務。ファカルティ・ディベロッパーとして高等教育開発の実践と研究を行う。2009年はイギリスのキングス・カレッジ・ロンドン学習研究所客員リサーチフェローとして高等教育開発を研究。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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学士課程教育体系化のステップ - 3つのポリシーの策定と一貫性構築
愛媛大学教育・学生支援機構教育企画室副室長・准教授 佐藤浩章
STEP

第1回 組織体制づくりとめざすべき人材像の策定

大学教育を充実させるには、アドミッション・カリキュラム・ディプロマの3つのポリシーを策定し、一貫性を持たせて、教学経営に当たることが重要である。
ファカルティ・ディベロッパーとして活躍する愛媛大学の佐藤浩章准教授に、学士課程教育の体系化を図る手法について連載してもらう。

学士課程教育の改革に求められる3つの方針

 2008年に出された中央教育審議会の「学士課程教育の構築に向けて」の答申では、学士課程教育の改革の実行にあたって「『学位授与の方針』『教育課程編成・実施の方針』そして『入学者受入れの方針』の三つの方針を明確にして示すこと」の重要性が述べられている(それぞれDP、CP、APに対応)。また、(独)大学評価・学位授与機構の機関別認証評価において使用されている大学評価基準でも、同様の方針の策定と公表が求められている。
 本連載では、この取り組みを政策や認証評価への対応としてだけではなく、教員がカリキュラム開発の手法を学ぶ能力開発の機会(FD)として位置付け、それを効果的に展開する手法を説明していく。
 第1回は、学士課程教育体系化のステップを概観し、取り組みの実施に必要な組織体制について触れ、最初のステップであるめざすべき人材像の策定手法を説明する。実施に役立つように、適宜、筆者の所属する愛媛大学での事例を挿入していく。

FDはミクロ・レベル(授業・教授法の改善)、ミドル・レベル(カリキュラムの改善)、マクロ・レベル(組織改革)の3層に分けてとらえることができ、学士課程教育構築の取り組みはミドル・レベルとマクロ・レベルのFDである。佐藤浩章「ファカルティ・ディベロッパーという仕事(1)」(IDE大学協会発行『IDE現代の高等教育』No.500 2008年5月号所収)

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