学士課程教育体系化のステップ

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 4/4 前ページ

第1ステップ めざすべき人材像の策定

 最初のステップは三角形の頂点を定める作業であり、「めざすべき人材像」を策定することである。私立大学の場合は、建学の精神に表現されていることが多い。国公立大学では不明確なことも多いが、その場合は、大学憲章やモットーを新たに策定し、表現するとよい。
 策定時には、大学の理念だけではなく、国、地域社会、産業界といった大学の利害関係者のニーズについても配慮する必要がある。例えば、「社会人基礎力」「学士力」などは参考になるだろう。
 愛媛大学は2004年、法人化を機に愛媛大学憲章を策定したが、その中の教育にかかわる基本目標に、次のようにめざすべき人材像が描かれている。
 「愛媛大学は、学生が豊かな創造性、人間性、社会性を培うとともに、自立した個人として生きていくのに必要な知の運用能力、国際的コミュニケーション能力、論理的判断能力を高める教育を実践する」
 「愛媛大学は、地域・環境・生命に関連する教育に力を注ぎ、地域の現場から課題を発見し解決策を見いだす能力を育成する」
 めざすべき人材像は、大学の全構成員に共有され、日々の教育・学習活動がすべてそこに向かう。ゆえに、覚えやすく、印象的なものになるよう工夫するとよい。次号で説明するDPとは異なり、抽象度が高く、包括的で構わない。

高等教育改革の
最新キーワード
アカデミック・ディベロップメント
イギリスでは最近、FDを意味する用語として、“Academic Develop-ment”が使用されるようになりつつある。これまで使っていた“Staff and Educational Development”を含む概念であり、大学教員の教育能力のみならず研究能力の開発(Research Development)も対象となる。“Academic Practice”とは教育・研究能力開発の具体的な取り組みを意味するが、研究能力開発の実践はまだ始まったばかりである。

  PAGE 4/4 前ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ