特集 「学校力」を考える(1) 学び高める「指導力」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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自己決定できる力を生徒に身に付けさせたい

編集部 ここまで二つの課題が出てきました。一つは生徒の変化に対して、指導力をどのように発揮すればよいのかという課題。そして、組織としての指導力を伸ばすため、ベテラン教師と若手教師の意識のギャップをどう埋めるのかという課題です。
  まずは生徒への指導の在り方からうかがいたいのですが、長岡先生はどう考えていますか。

長岡
 昔の生徒と比べてプラスに変化している点もあります。例えば、自分の意見を上手にまとめて話せる生徒が増えていることです。ただし情報を収集して、自分で判断するという力は弱くなっています。そのため志望大の決定でも、本人の学力や資質に合致していない大学を選んでくるのです。教師は、一人ひとりの生徒の適性を見極め、きめ細かい進路指導や生活指導を行い、まずは生徒自身が自分で判断できる力を伸ばしていくことが必要だと思います。

保科
 最終的に育てたいのは「自分で判断できる力」ですからね。私が生徒に言うのは、「大学と就職と結婚は自分で決めなさい」ということです。自分で決めたことなら、もし挫折しても立ち直れると思うのです。
  本校では2年生の12月から3月に「進路実現レポート」を書かせます。どこの大学に進学を希望するか、お金はどれだけ必要か、などを全部自分で調べて提出させているんです。またここ数年、学校行事を意図的に増やしました。6月の文化祭も、前年から委員会を立ち上げて準備を進めます。生徒が自分で企画・運営をする中で、主体性やリーダーシップを身に付けることを狙ったものです。

花島
 こちらが生徒に勉強をさせたとしても、最後に「自分でやったんだ」と思わせられれば、それは生徒の自信になります。「頑張ったから成績が伸びた」という成功体験を持てば、生徒の表情はどんどん明るくなります。教師が徹底して裏方に回り、生徒を支える―プロの教師としての力量が問われるところです。

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