特集 「学校力」を考える(1) 学び高める「指導力」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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2 ミドルリーダーが取り組みのコンセプトを明確にする

各行事の目的を明確化し整理統合を進める

 大分舞鶴高校では、学年団全体で目標を共有し、活動のコンセプトを明確化。教師間のぶれをなくし、学年団の力を最大限に引き出せるようにしている。進路指導主任の大鳥秀峰先生は次のように述べる。
  「目標の共有化には基となる理論が必要です。そのため、私が学年主任のときに示したのが『IP(Independence Program)52の理念』です。新学習指導要領の趣旨や新しい学力観、問題解決能力育成の重要性など、教師に求められている力を1学期間かけて先生方に伝えました。理念の浸透に時間はかかりましたが、最初に方向性を示すことで、かえって先生方は動きやすくなったと思います」
  更に、大鳥先生は「IP52の理念」を基に「IP52の基本構想」を打ち出した。学校行事を「基本的生活習慣の確立プログラム」などの五つに分類し、各行事が生徒のどの資質を伸ばすのかを明確にしている(図2)。
  「行事のコンセプトが明確になり、行事全体が有機的なつながりを持つようになった意義は大きいです。教師の力を一層引き出せるようになり、重複する行事を廃止するなど、行事の精選もできました」(大鳥先生) 。

  模試検討会と志望校検討会の分離は、その良い例だ。それまで、2時間の会議で生徒一人ひとりの学力を基に志望校を検討していた。しかし、「IP52の基本構想」により、「学力検討会は全県的な視野で、本校の生徒の状況を把握する会」「志望校検討会は生徒一人ひとりの志望進路を達成するために何をすべきかを考える会」と目的が明確になり、会を分離するきっかけとなった。
  また、年4回の志望校検討会のうち2回は、初めて3年の担任をする教師の学習会という目的も付与した。生徒が抱える問題点や軌道修正の方向性、今後の学習の力点などを、ベテラン教師が若手教師にノウハウを伝授していく場にもなったのである。


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