指導変革の軌跡 岐阜県立関高校「学力向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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よいと思ったことはとにかく実行に移す

 フロンティア事業の対象は03年度の入学生で、指定期間は3年間だ。研究主題は「学力の把握・評価→学力の伸長・進路目標の実現」と設定し、次の三つの柱を掲げた。
(1)進路志望等に応じた早期からの学習・進路指導
(2)学力向上を図るための学力評価法
(3)生徒の実態に応じたきめ細かな学習指導と習熟度別学習指導法

  事業の骨格は固まったものの、具体的な実践内容はほとんど決まっていなかった。図1は関高校のフロンティア事業の年間計画を示したものだが、この中で開始当時から実施が決定していたのは1年次の「学習合宿」と学校独自教材の「関高学力スタンダード」の作成だった。そのほかの活動は、年度が進む中で教師から出てきたアイディアを次々と実行に移していったものだ。まさに試行錯誤の3年間だった。「よいと思ったことはとにかくやってみる。よいか悪いかの判断は、取り組みが終わったあとに検討しようというのが、当時の私たちの方針でした」と、2学年主任の今井健治先生は強調する。

図1

  例えば、1年次の7〜8月に実施した「高校生研究者たち」も、具体的に検討したのは、03年度に入ってから。これは、夏休みの課題研究の一環として、興味・関心に応じて生徒が自由に研究テーマを設定し、レポートを作成するというもの。遺伝子組み換えやホトトギスを題材とした和歌の研究など、多くの生徒がレベルの高い研究に挑戦したが、当初はどのような成果が出るか不安だったと、フロンティア事業を主導してきた3学年主任の居波裕先生は語る。
  「『いろいろな分野で高いレベルの研究者となる生徒を育てたい』というのが、この活動の狙いでした。そのためには、早い段階からレベルの高いものに接する機会を与えると共に、自ら難しいことに挑戦する意欲を育むことが重要です。生徒にとっては、進路を見つめるよい機会になったようです」


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