特集 「学校力」を考える(3)生徒が伸びる面談


富山県立砺波(となみ)高校

◎2006年に創立97周年。自主自律を尊び責任を重んじる人材の育成を目指す。小規模校ながら多数の国公立大進学者が輩出。03年に学力向上フロンティアハイスクール、06年から学力向上拠点形成事業の指定を受け、進路意識の涵(かん)養、自学自習の支援などに力を入れる。

設立●1908(明治41)年

形態●全日制/普通科・理数科/共学

生徒数(1学年)● 約200名

06年度進路実績●国公立大には東京大4名、東北大4名、名古屋大4名、金沢大31名、富山大42名、富山県立大3名など161名が合格。私立大には慶應義塾大、早稲田大、立命館大、関西学院大など、延べ318名が合格。

住所●富山県砺波市東幸町3-36

TEL●0763-32-2447

WEB PAGE●http://www.tym.ed.jp/
sc364/

北嶋秀也

▲富山県立砺波高校

北嶋秀也

Kitajima Hidenari

教職歴25年目。砺波高校に赴任して9年目。進路指導部長。「将来、社会人になったときリーダーになれる生徒になってほしいですね」

広岡謙一

▲富山県立砺波高校

広岡謙一

Hirooka Kenichi

教職歴23年目。砺波高校に赴任して5年目。進路指導部副部長。3学年副担任。「生徒には自分に責任を持てる人間になってほしい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例3】


富山県立砺波(となみ)高校

教師全員による日常的な「声かけ」で生徒のやる気を喚起

砺波高校では、あらかじめ設定された面談にこだわらず、
日常的な場面での声かけを徹底している。情報共有に基づいた
教師たちの連携プレーで、生徒のやる気を高める手法を見てみよう。

声かけ指導の徹底で生徒の自信を高める

 富山県立砺波高校の面談のモットーは「必要なとき、必要な生徒に、適切な教師から、適切な声かけを行う」。1・2年次8回、3年次12回と目標数を決めているが、あくまでそれは教師に面談の重要性を自覚してもらうための指標にすぎない。また、生徒と向き合っての面談であるかどうかといった「形」にもこだわらない。休み時間や掃除の時間、廊下ですれ違うときなど、学校生活のありとあらゆる場面で、教師の方から積極的に声をかけていく。もちろん、声をかけるのはクラス担任だけではない。教科担当や学年主任、進路主任などすべての教師が、生徒一人ひとりに目を配り、褒めたり励ましたりすることで、生徒の自信とやる気を高めていくのである(図1)。
  砺波高校でこうした面談スタイルを取るようになった背景について、進路指導部副部長の広岡謙一先生は次のように語る。
  「5年程前、本校の進学実績が大きく落ち込んだ際、『生徒の気質変化に対応できていないのではないか』という課題が浮上しました。最近の生徒は、自分を客観的に分析できないため、十分な学力を持っている生徒でも自信が持てない。半面、困っていることや悩んでいることがあると表情や態度に出やすい。自分から積極的に教師に話しかけたりはしないのですが、内心は自分の存在を認めてほしいと思っているのです。こうした生徒に自信をつけさせるためには、差し向かいで行う面談だけではなく、日常生活のあらゆる場面で教師から積極的に声をかけていくことが必要だと感じたのです」

図1

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