中学校の現場から 学習習慣の定着


山形県鶴岡市立鶴岡第二中学校

庄内地方の南部に位置する鶴岡市は、2005年10月の大規模合併で東北最大の面積を持つ市となった。教育目標は「自ら学び、心豊かで、たくましい生徒」。各学年とも総授業時数は年間1000時間を超え、手厚いフォローの下、生徒の学力向上を図っている。

生徒数 ● 474名
学級数 ● 14学級

WEB PAGE●http://www.city.tsuruoka.
lg.jp/070252/index.html

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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実践事例
山形県鶴岡市立鶴岡第二中学校

「チャレンジャーノート」をきっかけに家庭学習の習慣を定着させる

入学後、早い段階で自主学習の習慣をつける

 鶴岡第二中学校は自主学習の習慣付けを中心に、きめ細かい学習指導で学力アップに成功している。中でも、10年以上続くのが「チャレンジャーノート」だ。これは、ノートを1冊用意し、宿題以外に毎日2ページ以上を自主的に学習するというもの。教科も内容も生徒が自由に決められるが、英単語の練習や教科書の英文の筆写、数学の問題演習などに取り組むケースが多い。
  毎朝提出されたチャレンジャーノートはクラス担任が確認し、「終わりの会」で返す。未提出の生徒や内容が不十分な生徒は、放課後、きちんと仕上げるまで居残りをさせる。不十分な内容とは、1行おきに単語練習をしたり、空白が多かったりするものだ。
  「中学生になると、小学校時代と違い部活動もあるので、生活のリズムが大きく変わります。更に『与えられたものをこなす勉強』から『自分で何をやるか見つけなければならない勉強』への転換も必要です。そこで、中1の1学期の期末テストまでは1日1ページにし、スムーズな導入を狙っています。最初は提出できずに居残る生徒もいます。しかし、1〜2か月もすると、ほとんどの生徒がきちんと提出できるようになります。本校の校区の小学校も学習の習慣付けに熱心に取り組んでいるので、入学時点で学習習慣がついている生徒が比較的多いですが、そうでない生徒も早い段階で机に向かう習慣がつくのは大きな成果です」(学習指導部長・田澤明広先生)
  チャンレンジャーノートはとにかく毎日2ページを埋めるというハードなものだが、初めからしっかり取り組ませることで、「やるのが当たり前」という状態になるという。
  内容が充実したチャレンジャーノートは、掲示板や学級便りへの掲載などを通じて、「良い見本」として公表している(図1)。また、必ずしも学力の高い生徒が一生懸命に取り組むわけでもないと、田澤先生は話す。
  「学力の高い生徒が内容の薄いノートを提出することもあります。数学が得意な生徒が途中式を飛ばして書くのと同じように、生徒個人の性格が出るのではないでしょうか。また、丁寧にまとめることばかりに力を入れている生徒もいます。それでは頭に入らないことも多いので、併せて問題演習にも取り組むようにアドバイスしています」
  チャレンジャーノートとは別に教科の宿題もある。例えば国語では、授業用のAノートと漢字練習用のBノートがあり、毎時間Bノート1ページ分を提出。習熟度別授業を行う数学では、基礎コースは毎時間宿題があるほか、英語や理科などを含めると、毎日30分〜1時間程度は宿題に充てることになる。「チャレンジャーノートに1時間くらいかけてほしい」(田澤先生)ということもあり、生徒は毎日1時間半〜2時間の家庭学習を行う計算となる。
  中3になると受験用問題集の自主学習もスタートする。5教科それぞれ1冊ずつの問題集を、全員共通のスケジュールに従って自分で取り組む。月曜日は国語、火曜日は社会といった具合に毎日提出し、先生がチェックする。このため、チャレンジャーノートは1日1ページになる。

図1

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