真のリーダー育成を目指して 愛知県立一宮高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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言語運用力を強化するため読書指導に力を入れる

――行事や部活動を貫徹させる一方、03年からSSHの指定を受け、理数教育の充実を図るなど、学習面でも高いレベルの指導をされています。06年度入試では、東京大合格者が前年の18名から28名に、名古屋大合格者は75名から142名と大幅に増えていますが、身につけさせたい学力とは、どのようなものでしょうか。

 

細川 私たちが生徒に身につけさせたい真の学力とは、幅広い分野で総合的に発揮できる力、いわば「応用の利く基礎力」といったものです。教師が一方的に受験テクニックを教え込むのではなく、生徒が考える機会をつくり、しっかり考えるように仕向けることが必要です。


水谷 その意味で、本校は読書指導に力を入れています。現在、SSHの延長期間(05〜06年度)にありますが、理数系科目の力が伸びた反面、文系科目のケアが手薄になっていたことは否めません。そこで、2、3年生の文系生徒を対象に「総合的な学習の時間」で読書による国語力の強化に取り組んできました。進学実績が好調なのは、理数教育を強化する一方、それを下支えする国語力をしっかりと養成してきたからだと考えています。

 

栗木 もっとも、本校が目指す国語力は、小論文を書くなどのテクニックではありません。入試で合格する力も大切ですが、もっと重要なのは大学進学後、あるいは社会に出てから必要となる言語運用能力、広い意味でのリテラシーを身につけさせることです。特に数学や理科の教師が指摘するのは、生徒の国語力の低下です。読解力がないために文章題の意図を読み取れず、結果的に2次試験に対応できない。自己の認識を客観視する力が欠けているために、他者の意図もくみ取れないのです。

 

――具体的にはどのような方法で読書指導を行っているのでしょうか。

 

栗木 良い本をたくさん読み、その中で考えるという訓練を積んでいくしかありません。書くことも大切ですが、基本は多読。読みが8割、書きが2割です。総合学習では知的な論理操作の素養を身につけるため、新書を中心に論理的な文章を読ませました。ただ、情緒的に幼い生徒が増えているので、自己認識を深めさせる必要もある。国語科の授業では文芸の名作を多く読ませるというように、総合学習と国語で役割を分けてバランスのよい読書体験ができるよう心がけています。言語運用能力を身につけるために何が必要かと考えたとき、結局、一番古典的な手法が効果的だったというわけです。


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