行政の考える英語教育 英語教育は、発信能力、コミュニケーション能力重視の方向へ
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英語教育をより一層充実させていく

―SELHi事業を含めた「行動計画」について、予算を含めた今後の見通しを教えてください。

銭谷 「行動計画」を策定した03年度から、本計画に関わる予算額については、毎年拡充しています。
  06年度は、SELHi事業の指定校を101校から110校へ、小学校英語活動地域サポート事業は内容の充実を図り、 更に英語指導力開発ワークショップ事業を5地域から6地域へと増やせるように、予算を含めた基盤整備を行っています。
  「行動計画」は、07年度までの5か年計画となっていますが、今後も中央教育審議会外国語専門部会での議論や英語教育を取り巻く環境の変化などを鑑みながら、必要な施策を講じていきたいと考えています。

―「行動計画」の施策の一つとして、「入試での評価の改善」が挙げられています。今後、高校入試や大学入試も読解や文法中心の出題だけではなく、「英語を使ったコミュニケーションができるか」を問う出題を増やしていくということですか。

銭谷 大学入試で言えば、06年度センター試験においてリスニングテストを導入しました。また、高校入試は、公立は各都道府県の教育委員会、私立は各校の設置者が主体となって実施するわけですが、これまでも入試の改善に取り組んでいただいていますし、今後も取り組みは進んでいくのではないかと思われます。

―英語教育を改善・充実させる上でのポイントになるのが、学習指導要領です。次期学習指導要領改訂に向け、英語のカリキュラムをどのように変えていきたいとお考えですか。

銭谷 学習指導要領の見直しについては、05年2月、中教審に全体的な見直しをするよう審議要請を行いました。これを受けて、英語教育の改善・充実については、教育課程部会及び外国語専門部会で専門的な検討を行っています。
  これまで外国語専門部会では、「教育課程実施状況調査」などの各種調査結果や、研究開発学校やSELHi事業などの成果と課題の検証などを通じて、検討を重ねてきました。その結果、現在の英語教育の課題として、「グローバル社会にあって、英語でコミュニケーションをするためには、発信力が重要であり、そのために必要な語彙力、文法力は確実に身に付けることが必要」「音声によるコミュニケーション力と、読むこと、書くことを総合的に育むことが必要」といった意見が委員から出されています。
  今後、更に教育課程部会や外国語専門部会で検討を進め、07年度から08年度にかけて、学習指導要領の改訂を行いたいと考えています。

―「行動計画」では、小学校段階での英語活動への支援を打ち出していますが、中教審でも小学校での英語教育の導入を検討しているのでしょうか。

銭谷 学習指導要領の見直しの一環として、現在、外国語専門部会で検討しています。検討課題としては、「英語教育を必修とするかどうか」「国語力育成との関係」「中学・高校の英語教育との関係」「仮に必修とする場合、開始学年、教育内容、教材、指導者の確保、実施時期をどうするのか」といったことが議論されています。

―お話をうかがっている限りでは、今後の日本の英語教育は、発信能力やコミュニケーション能力の育成を重視した方向に、より進んでいくと考えて間違いないようですね。

銭谷 89年に学習指導要領が改訂されたときに、高校でオーラルコミュニケーションの科目が導入されました。それ以来、リスニングやスピーキング、英会話力の育成を重視する方向で英語教育は進んできています。
  次期学習指導要領改訂の内容については、まだ明確な方向性は出されていません。ただ、英語の国際共通語としての性格はより強まっていくと考えられますので、現場の先生方には、コミュニケーション能力の育成に配慮した英語教育活動をより充実させ、展開していただければありがたいと思っています。


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