真のリーダー育成を目指して 神奈川県私立聖光学院中学校・高校

 
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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6年間にまいた種が将来大きな樹木へと育つ

――いずれも文部科学省が強調する「生きる力」の育成にも通じる取り組みですね。

 

 どちらの講座も06年度で6年目になります。導入時はゆとり教育が本格的に始まろうとしていた時期で、多くの学校で土曜を休みにすべきか否かという議論が行われていました。本校は土曜を休みにするのではなく、いかに生徒にとって有意義な時間にできるかという発想を取りました。結果的に、「総合的な学習の時間」を先取りする形になりました。

 

安宅 近年、文部科学省では国語教育の重要性を強調していますが、本校ではかなり前から力を入れています。例えば、授業に「群読」を取り入れたのは15年前です。一つの作品をパフォーマンスを交えながら複数の人で朗読する演劇の手法です。国語科の教師が、授業で生徒の発言が少ないことに気づき、教室内に声を取り戻そうという趣旨で始めました。

 

村山 近年は、読解力の低下も問題になっていますが、本校では中2から小論文指導を取り入れ、論理的な文章を書く訓練をしています。例えば、デッサンをきちんと描けなければ良い抽象画は描けませんよね。文章もそれと同じです。論理的な文章が書ける土台があってこそ、個性的な文章が書けるようになります。近年、文章を書くのが苦手な生徒が増えているといわれますが、論理的な文章を書く訓練をすることで、本校では多くの生徒が小論文を楽しみにするようになっています。

 

工藤 リーダーの育成にとって大切なのは、6年間の教育課程の中で、どれだけ多くのステージを生徒に用意できるかということだと思います。リーダー育成というと帝王学のようなものを想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。6年間の中等教育の中で、発達段階に応じた効果的な学習を行ったり、芸術を通して感動する心を養ったりする。それにより、生徒の内面にリーダーにふさわしい人格が形成されていくものなのです。この時期にたくさんの小さな種をまいておくことで、将来、生徒たちの資質が開花し、大きな樹木に成長するのだと思います。

 

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