未来をつくる大学の研究室 経営学
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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大学院での学び
さまざまな学問の要素が混在する面白さ

 講義は、企業の成り立ちや成長の過程から、理論や手法を学び取るケーススタディーが中心です。取り扱うケースは、ハーバード大学ビジネススクールで使用されているものが多く、各ケースは英文20ページほどの文献にまとめられています。その文献を事前に読み込み、それを基に学生同士がディスカッションし、考えを深め合うというスタイルで講義は進行します。学生数は45名と少数ですから、一人ひとりが発言する機会が多く、議論は活発です。
 私は、元々英語は得意ではありませんでしたから、1年目は文献を読むだけでも一苦労でした。それでも、毎日、夜中まで予習を続けるうちに、次第に読解スピードや理解度は向上していきました。また、学生の4割は留学生ですから、普段から英語でコミュニケーションをしていることも、英語のセンスに磨きをかけてくれたのでしょう。交換留学プログラムを利用し、3か月間、ロンドンビジネススクールで学んだことも貴重な経験でした。
 経営学が面白いと思うのは、数字を駆使する会計学やファイナンス学と、心理学などのファジーな領域を扱う学問とが、混在していることでしょう。全く考えもしなかった概念に出合い、目からうろこが落ちる思いをすることもしばしばです。学ぶにつれて、奥深さを感じます。 ここで身につけたことをキャリアに生かせるように、MBA(※6)の取得後も、ますます「学び」を深めたいと考えています。

用語解説
※6 MBA   Master of Business Administrationの略。一般に「ビジネススクール」と呼ばれる経営学の大学院(修士課程)修了者に与えられる学位のこと(ただし、アメリカのMBA認証機関であるAACSBからMBA養成機関と認証されている大学は限られる)。
高校生へのメッセージ
受け身ではなく自ら手を伸ばす「学び」を

 今の私は、学生時代とは比べものにならないほど勉強をしています。正直言って、社会人になってからこれほど勉強するとは思ってもいませんでした。しかし、そんな毎日でも苦ではありません。勉強の先に、「こんな自分になりたい」「こんなことをできるようになりたい」といった明確なイメージを描いているからです。受け身ではなく、自分から欲しいものに手を伸ばすような気持ちで学んでいます。
 高校時代に将来の自分を明確に思い描くことは難しいと思います。ただ、社会人になっても私のように自分の進むべき道を広げたり、方向転換をしたりすることは十分可能です。大切なのは、常に「自分は何をしたいのか」を考えること。目標を見つけられれば楽しく、本当の意味で自分のためになる勉強ができるはずです。


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