特集 生徒を大人にする「生徒指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教師の率先垂範が最善の生徒指導

 生徒による自治を重んじる同校だが、すべてを生徒の自由に任せているわけではない。学校生活を通して規範意識を育む指導にも力を入れる。
 生徒指導は全校体制で取り組む、というのが同校のスタンスだ。
 「生徒指導は、教師の日常的な声かけが一番大切。気になる生徒がいれば、職員会議で共有します。教師によって指導の基準が違うと、かえって逆効果です。服装・頭髪指導や携帯電話の指導なども、教師が合意した上で行っています」(五艘先生)

図2
富山中部高校では、1・2年次は年2回、3年次は3回、生活実態調査を実施する。生徒一人ひとりの生活の実態や高校生活への思いを知ると同時に、学年全体の傾向を把握するのが狙い。年7回実施している個人面談の際の資料にもなる。

 全校集会や始業式など、学校全体が集まる場では、必ず生徒指導部長や学年主任が体育館の入り口に立って服装や頭髪をチェックする。また、全学年で月1回、予鈴と共にすべての正副担任が学年の廊下に立ち、生徒に服装指導をしたり、時間励行を呼びかけたりする「学年廊下指導」も展開している。
 ただ、教師が声に出して直接指導することだけが、同校の生徒指導ではない。教師は始業前にそれぞれ教室の前に立ち、ベルが鳴ると同時に教室に入る。また、教師は全員、スーツにネクタイ着用で、常に礼儀正しく振る舞う。教師自身が良き模範となり、社会人に必要なマナーの大切さを生徒に気づかせるのである。
 「あえて教えなくても、教師が自ら態度で示すことで、生徒は自然とそれを見習うようになります。教師の率先垂範こそが最も効果的な生徒指導です」と、荒井校長は強調する。
 仲間や先輩との関係の中で成長を実感し、教師の後ろ姿を見ることで自ら襟を正す。同校が受け継いできた自治の伝統は、同校の生徒指導の根幹として、今なお息づいている。


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