特集 生徒を大人にする「生徒指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の実態を踏まえた意識付けを行う

 生徒指導を軸に学校改革をなし遂げた同校は、今、新たな課題に取り組んでいる。愛知県では07年度に公立高校の入試制度が変わり、同校の場合、学区トップ校との併願が可能になった。そのため、第2志望の生徒が入学するようになり、生徒の意識が変化しているという。
 「本校は05年度からスタディーサポートを活用し、入学前から生徒の進路意識や学習状況を調査しています。入試制度が変わった07年度には、第1と第2志望で分けて集計したところ、第1志望者が高校生活を楽しく送りたいと考える一方、第2志望者は学習意欲は高いが、塾への依存が強いことがわかりました」(森先生)
 入学時の生徒の実態を志望順別に把握することで、初期指導での面談では第2志望の生徒に対応したケアが可能になると考えている。
 「4月の面談週間の際、教師の頭の中には、第2志望の生徒の特徴が入っています。例えば、第1志望の生徒は板書と重要ポイントをノートに取れるが、第2志望の生徒は板書だけをきっちり書き写す傾向が強い。これでは高校の授業に対応できません。そこで、初期の面談からこうした点を生徒に個別に確認し、意識付けています」(森先生)
 同校では全学年で学習時間を調査しているが、2、3年前からは、定期考査前に学習時間の状況をクラスごとに一覧表にして、生徒の意識を高めている。予習・復習の仕方など学習の質を高めるだけではなく、量も確保したいという狙いがある。
 また、春のオリエンテーション合宿では、第2志望の生徒が学校への帰属意識をより高めるために、1泊2日の間に校歌を覚えてクラスごとに発表している。
 「例年の生徒アンケートと比べても『学校に誇りを持てるようになった』という感想が見られ、実際、行事の際の校歌の声もかなり大きくなっていると感じています」(鶴田先生)
 変化する状況に応じて着実に次への布石を打っている同校だが、指導の手綱を緩めることはなさそうだ。
 「第1志望者の多くが進学動機に『楽しい高校生活を送りたい』と挙げています。それは学校への愛着を表している反面、指導を緩めれば、すぐに元の状態に戻る可能性があることも示しています。生徒の力を伸ばせるかどうかは、教師の指導次第。高い目標を持って学習に取り組むよう、より徹底した指導を展開していきたいと思います」(加藤先生)


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