特集 生徒を大人にする「生徒指導」

広島県立西条農業高校

◎県内唯一の農業高校。「創造・実践・育命」を校訓に、植物・動物の命を育む活動を通して、豊かな人間性の育成を目指す。実業系高校としては全国トップクラスの進学実績を誇るほか、甲子園出場3回の野球部をはじめ、弓道部、馬術部など全国レベルで活躍する部も多い。

設立●高校:1911(明治43)年

形態●全日制/園芸科・畜産科・生活科・食品科学科・農業機械科・生物工学科・ 緑地土木科/共学

生徒数(1学年)●280名

07年度進路実績●07年度進路実績 国公立大には、帯広畜産大、山口大、愛媛大、熊本大、鹿児島大、琉球大、県立広島大、広島市立大、尾道大など33名が合格。私立大には、東京農業大、中央大、名城大、近畿大、広島修道大、久留米大など延べ138名が合格。

住所●東広島市鏡山3-16-1

TEL●082-423-2921

WEB PAGE●http://www.saijo-ah.
hiroshima-c.ed.jp


小迫孝太郎

▲広島県立西条農業高校

小迫孝太郎

Kosako Kotaro

教職歴24年目。同校に赴任して10年目。生徒指導主事。「生徒には『克己』の精神と態度を身につけてほしい」

中野公隆

▲広島県立西条農業高校

中野公隆

Nakano Hirotaka

教職歴・赴任歴共に22年目。1学年主任。「夢を実現するために努力し続けられる生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例4】

広島県立西条農業高校

生徒以上の厳しさを教師に求める生徒指導

20年前、生徒指導により生徒の「荒れ」を克服した西条農業高校。
今も「西農三訓」を土台に、学年会組織を中心とした全校体制の指導を徹底する。
規律と礼節を備えた同校の卒業生は、企業からも厚い期待を寄せられている。

「西農三訓」が生徒指導の土台

 水を打ったような静けさの中で、846名の生徒が縦、横、斜めまでそろえて整然と並ぶ。この間、教師の指示は一切ない。一人ひとりの生徒が、だれに言われるともなく速やかに体育館に集合し、開始5分前には生徒全員が集会に臨む態勢を整える。西条農業高校が週1回行う生徒朝会での光景だ。
 同校は、園芸科や畜産科など7学科を擁する県内唯一の農業高校である。例年、30名前後の国公立大合格者が輩出し、実業系高校としては全国でもトップクラスの進学実績を誇る。また、公務員試験にも多数合格するなど、就職実績も高い。規律正しく礼節をわきまえた同校の卒業生は、企業からも高い評価を受けており、数年前の就職氷河期においても高い就職率を維持し続けた。
 そんな同校でも、20年ほど前、荒れていた時期があった。教室で爆竹が鳴る、生徒はタバコを吸い放題…。「授業にならない」と泣きながら訴える若い教師もいたという。
 そんな同校を立て直す原動力となったのが、生徒指導だった。「西農三訓」と呼ばれる「時間厳守・整理整頓・挨拶励行」を掲げたのもこのときだ。教師全員が生徒に一歩も引かず、徹底的にこの三訓の浸透を図った。陸上部や野球部など主だった部活動の中心となる生徒をターゲットとし、規律ある生活態度、挨拶の励行を徹底させた。野球部が甲子園出場を果たし、ほかの部も全国大会に出始めるようになったころ、ようやく学校全体が落ち着きを取り戻したという。当時を知る1学年主任の中野公隆先生は、「現在の生徒指導の土台は、すべてこのときに確立しました。その財産をしっかり継承していくのが、私たちの務めです」と強調する。


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