中学校の現場から 地域連携
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 2/2 前ページ

地域主体のクラブ運営が世代を超えた絆を育む

 クラブ指導者は一般の社会人が多いが、地元の大学生や同校の卒業生の高校生が土日のみ指導をしたり、部活顧問がそのままクラブの指導者を兼ねたりすることもある。指導者の数もさまざまで、1名で切り盛りするクラブもあれば、5、6名がローテーションを組んで指導するクラブもある。
 ただ、部活動とクラブが密接に関係していることから、部活顧問とクラブ指導者が意思疎通をきちんと図ることが、運営上の大きなポイントになる。部活顧問は教育的な観点から指導を行うことが多く、練習では基礎的な内容を重視し、試合の際にもなるべく生徒を平等に扱おうとする。一方、地域の指導者は、競技性や楽しさを追求する傾向が強い。実際の指導でこうしたずれが生じると、子どもは迷ってしまう。そこで、年度当初に部活顧問とクラブ指導者で指導方針を擦り合わせ、子どもにクラブの方向性を明確に示している。
 保護者の協力を引き出すことも、クラブ活動を円滑に行う上で欠かせないポイントだ。同校では、万が一の事故に備えて、参加する生徒全員を保険に加入させ、各クラブで当番制を敷き、1、2名の保護者が常に練習に付き添う。クラブ活動の責任を指導者だけに負わせるようなことは絶対に避け、指導者の負担を減らすと同時に、地域との交流を広げるきっかけにしている。
 「大切なのは子どもを毎日見てあげること。常に見られていることで、練習に適度な緊張感が生まれ、生活態度もきちんとしてきます。保護者、教師、地域の人々が共に生徒を見守ることが、クラブを通してできるようになったと感謝しています」(松井紀史朗教頭)
 最も大きな成果は、生徒を地域と一緒に育てていく体制が整ったことだ。「ふれあいクラブ」主催のさまざまな催し物に、同校の生徒がボランティアで参加する機会も多い。 
 「『ふれあいクラブ』に中学生が参加し、将棋を通じて地域の高齢者と交流している例もあります。こうした体験は生徒の成長にも重要です。今後も地域との交流の輪を広げていきたいと思います」(岩田校長)

* 同校の取り組みは『VIEW21』中学版2007年7月号「指導変革の軌跡」で詳しく紹介しています。


  PAGE 2/2 前ページ
目次へもどる
高等学校向けトップへ