指導変革の軌跡 岐阜県立関高校「学力向上フロンティア事業の継承」
小邑政明

▲岐阜県立関高校校長

小邑政明

Komura Tadaaki

教職歴37年。同校に赴任して1年目。「力に合わせて志望校を選ぶのではなく、志望校に合った力を付けてほしい」

杉原 整

▲岐阜県立関高校

杉原 整

Sugihara Hitoshi

教職歴30年。同校に赴任して10年目。教務主任。「常に生徒と夢を語れる授業や部活動を心がけたい」

羽賀 均

▲岐阜県立関高校

羽賀 均

Haga Hitoshi

教職歴28年。同校に赴任して2年目。進路指導部副部長。「『分析・決断・実行』がよい結果につながる」

居波 裕

▲岐阜県立関高校

居波 裕

Inami Yutaka

教職歴24年。同校に赴任して12年目。進路指導部長。「あらゆることに意欲的に取り組める生徒を育てたい」

国江秀吉

▲岐阜県立関高校

国江秀吉

Kunie Hideyoshi

教職歴24年。同校に赴任して6年目。3学年担任。「失敗から這い上がることの大切さを伝えていきたい」

VIEW21[高校版] 新しい学力向上フロンティア事業の継承のパートナー
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全学年に定着した「関高学力スタンダード」

 同校の躍進を支える取り組みの一つは、前回の記事で最も読者の反響が大きかった「関高学力スタンダード」だ。教師個々の指導のぶれをできるだけ少なくするために、「関高生としてこれだけは身に付けさせたい」という内容を厳選した独自教材だ。1年生には国・数・英、2、3年生には国・数・英・理・地歴の分をつくる。
 内容の定着度は教科ごとに行う「スタンダードテスト」で測る。冊子の完成当初は3年生での実施を見送るなど、足並みがそろっていなかったが、今では国・数・英は全学年で実施し、学校全体の取り組みとして定着している。フロンティア事業開始から改革を支えた国江秀吉先生は、「スタンダードテストは、合格するまで何度も追試を行います。成績下位層を徹底的に支援し、学力の底上げを図ることが学校全体の勢いになっています」と強調する。
 フロンティア事業指定以降の4年間の模試結果を見ると、成績上位層が厚くなり、下位層が大幅に減っている。スタンダードテストの活用と習熟度別学級編成により、学力層に応じたきめ細かな指導を実現した結果だろう。
 一方、生徒の学習意欲を意識の面から支えているのが、志望大別の進路指導だ。「名古屋大・岐阜大」「東京大・京都大」の大学別入試研究会は、近隣の高校と連携して、教師が入試問題を分析し、生徒に入試対策を指導する取り組みだ。特に「名古屋大・岐阜大」の入試研究会は、当初、関高校が中心となって、美濃地区の数校の進学校と開催していたが、次第に他学区からの参加校が増えた。08年度の夏には県下の全高校に呼びかけたところ、15校200名以上の生徒が集まった(写真)。小邑(こむら)政明校長は、「特に難関大については、1校だけでは志望者が少なく、生徒同士の刺激に乏しい。学校を越えた交流によって、生徒はより高い意識を持つようになっています」と評価する。

写真
写真 名古屋大・岐阜大の入試研究会では、両大学の教員による大学紹介後、大学別に入試傾向分析の解説、国・数・英の指導が行われた。参加した生徒からは「同じ大学を志望する他校の生徒と学べ、緊張感があり、やる気がでた」などの声があり、好評だ

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