特集 つなぐ教師の教科指導力
沢井友義

▲富山県立富山高校教頭

沢井友義

Sawai Tomoyoshi

教職歴29年。同校に赴任して12年目。「生徒が大人になったときに、また古典を読むような授業が目標です」

神田 聡

▲富山県立富山高校

神田 聡

Kanda Satoshi

教職歴26年。同校に赴任して12年目。教務主任。「生徒の質問に何でも答えられる専門性を持つ教師が目標」

桐井克二

▲富山県立富山高校

桐井克二

Kirii Katuji

教職歴23年。同校に赴任して7年目。進路指導主事。「学ぶ意義のある授業をしていきたい」

砂子朋子

▲富山県立富山高校

砂子朋子

Sunago Tomoko

教職歴17年。同校に赴任して2年目。「実践で活用できる英語力を生徒に身に付けさせたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「互見」授業が教師間のつながりを生んだ

 取り組みの中でも柱となるのは「互見」授業だ。1学期の中間考査後にあたる教育実習中の2週間、教師は興味のある授業を自由に見学できる。そもそも、教育実習中は多くの教師が実習生の授業を見学し、また実習生も勉強のためにいろいろな教師の授業を見る。「教室がオープンな時期なのだから、教師同士も授業を見合おう」という発想から、教務部が職員会議で「互見」授業を提案したところ、すんなりと賛同を得られた。教務主任の神田聡先生はその理由を次のように話す。
 「教師ならだれでも、ほかの先生がどのように授業をしているのかに関心があります。ただ個人的に『授業技術を学ばせてください』とはお願いしにくい。そこで本校では、生徒の実態をつかむことをねらいとして『互見』授業を提案しました。制度として、教育実習期間を利用して互いに授業を見せ合う場を設けることに反対意見はありませんでした」
 進路指導主事の桐井克二先生は「教師をつなぐ」という点で「互見」授業は大いに役立っていると話す。
 「私の若いころに比べると、教師同士で話し合う時間が減っていると思います。ほかの先生が何を考え、どのような授業をしているのかを知る機会がなかなか持てません。けれども『互見』授業がきっかけとなって、意見や感想を述べ合う機会が生まれました。年にわずか1回の取り組みですが、教師同士のつながりを深めていると思います」
 07年度に同校に赴任した砂子(すなご)朋子先生は、同校で求められる授業を知る上で参考になっていると話す。
 「『互見』授業で『砂子先生の授業は丁寧ですね』と指摘されました。前任校が進学校でなかったこともあり、丁寧に説明しなければ生徒は理解できない、という意識が強くあったのです。その先生にとっては褒め言葉だったのかもしれませんが、授業を丁寧にしすぎることが、この学校の生徒にとってよいことなのかどうかを考えさせられました。その視点でほかの先生の授業を見ると、『本校の生徒にはこういう発問が効果的だ』『進度はこのぐらいが適切なんだ』ということが見えてきました」
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図1
「互見」授業の感想をまとめたシート。見学した教師が参考になった点、授業をした教師が反省点を表計算ソフトのシー トに書き込み、パソコン上で見られるようにしている。授業改善のヒントを教師間で共有するための取り組みの1つ

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