特集 新課程のポイントと高校教育への影響
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「活用の重視」「言語活動の充実」を各教科でどう指導するのか

編集部  新課程の総則の中で、各教科・科目の指導にあたっては、基礎的な知識・技能の「活用」を図る学習活動の重視や「言語活動の充実」が明記されました。これによって、授業風景は大きく変わるのでしょうか。 ▼クリックすると拡大します
『図:国語、数学、理科、外国語の改訂ポイント』 図:国語、数学、理科、外国語の改訂ポイント
秋元  言語活動は、言葉の力を身に付けさせる上で、どの教科でも欠かせない取り組みです。国語科はその中核として特に重要になるでしょう。運用する際には、教師が教育効果を意識して取り組む必要があると思います。「活動」と聞くと、生徒が楽しそうに話をしていれば活動が充実していると錯覚しがちです。効果的な活動にするためには、教師自身が生徒の「学習活動」と教師の「指導目標」を切り分けて考えることが大切ではないでしょうか。討論や発表自体が目的ではなく、それをさせることによってどのような力を身に付けさせたいのか、そのために教師がどのような働きかけをするのかを明確にするのです。
及川  数学では、ある生徒に板書させた解法について、ほかの生徒に意見を求めたり、別解があるかを全体に聞いたりしています。学年が上がるごとにこれらの手法を意図的に仕掛けることは、現在でも多くの先生が取り組んでいます。どの教科でも言語活動に関連する指導は行っている、といえるのではないでしょうか。
 また、活用についても、数学の理論を社会的な事象を盛り込みながら説明するといったことは、特に進路多様校では頻繁に行われています。「言語活動の充実」や「活用の重視」については、進学校でもそうした活動を今まで以上に意識することで可能になるのではないでしょうか。
宮野原  英語では、「授業では英語を使っての指導を基本とする」という方針が打ち出されました。私はあくまで「基本とする」という以上、すべてを英語で行う必要はないと捉えていますが、教師も生徒も英語による発話の場面は今より増えると思います。その際、教師が意識したいのは、「習得」と「活用」のバランスをどのように取っていくかということです。教師は大学入試で重要な「習得」に力を入れがちですが、「活用」を通して「習得」が定着すると私は考えています。学んだ知識や技能を実際に使ってみたら、自分の理解が不足していたと気づくことは多くあります。「習得」と「活用」のバランスを上手に取ること、そのためには、年間を通じた指導計画の策定がより重要になると思います。
 活用の機会が増えれば、授業中、生徒に「任せる」場面が増えていくでしょう。生徒が能動的に活動に参加することで得られる達成感は、学習意欲を高めるためには欠かせません。

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