指導変革の軌跡 東京都立小平西高校
VIEW21[高校版] 新しい進路意識向上のパートナー
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生活面が落ち着いた今こそ学習面の改革を推進

 改革開始から2年半。以前の同校を知る人は、「まるで別の学校のよう」と口をそろえる。特に変わったのは登校風景だ。07年度から生活指導部を中心に全員で登校指導を行った結果、茶髪の生徒はいなくなった。以前は遅刻しても悠々と歩く生徒が大半だったが、今では懸命に走ってくる。生徒会は自転車通行が禁止されている学校裏の遊歩道に立ち、違反する生徒を注意している。「以前の本校では考えられない光景です」と石井先生は目を細める。
 学校の雰囲気も活発になった。全校生徒参加による合唱コンテストを06年度に成功させ、以降、恒例行事に定着。5割弱だった部活動参加率は、08年度には7割に達した。保護者の意識も向上し、4分の1程度だった保護者会の参加率が7割に達する学年も出てきた(図2)。
図2
小平西高校では保護者を引き付ける手段としても「数値」を活用している。08年度の保護者会の案内状には、「フリーター・ニートになる割合」「就職希望者数」などのデータを盛り込み、保護者の関心を惹くよう工夫した
 今後の課題は、3年間を見据えたキャリアプランの実践と定着だ。08年度1年生から本格的に始め、今後は運用・検証しながら改善していく計画だ。
 「生活面で落ち着いたこれからは、学力向上にも切り込んでいくときだと考えています。まずは、1年後、2年後の生徒たちの進路状況を見極めて効果を検証し、改善すべき点は改善し、取り組みの軽減を図ったりしていきたい。個々の教師の努力から、全体としての取り組みである『小西スタイル』を定着させ、生徒の多様な進路希望が実現する全国一の進路多様校として結実させたいと思います」と川嶋直司副校長は話す。「小西スタイル」は今後の教師の奮闘にかかっている。

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