未来をつくる大学の研究室 脳科学
坂上雅道

坂上雅道 教授

さかがみ・まさみち
東京大大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程中退。東京大文学部助手、順天堂大医学部助手、同講師、玉川大学術研究所助教授を経て、現在、玉川大脳科学研究所脳科学研究センター主任・教授。グローバルCOEプログラム「社会に生きる心の創成」拠点リーダー。医学博士。共編著に『脳科学と哲学の出会い〜脳・生命・心』(玉川大学出版部)がある。

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未来をつくる大学の研究室 18
最先端の研究を大学の先生が誌上講義!

玉川大 脳科学研究所 脳科学研究センター
脳科学

人間の行動を支えるのは感情か理性か、また、至高の芸術はどのようにして生まれるのか。
従来、生物学や医学の研究分野だった脳科学は、いまや人間と文化や社会のかかわりへと
研究領域を広げつつあり、人文科学や社会科学と融合した研究に歩みを進めている。

脳科学って?
脳の研究を通じて「人間とは何か」を探る

脳科学では、脳の中の遺伝子やたんぱく質の機能、記憶や老化のメカニズムなどについて、分子生物学や遺伝学、神経生理学などの諸分野からアプローチする。医療機器の進歩により、近年、著しく発展している学問領域だ。芸術、哲学、経済、法律など人間の生み出した文化や社会は、脳が生み出したものだ。玉川大脳科学研究所の「社会に生きる心の創成プログラム」は、人類の創出した、そうした学問に脳科学の領域から迫り、脳科学の成果を人文科学・社会科学に応用して「人間とは何か」の解明を目指している。

教授が語る

人類のあらゆる営みに脳科学からアプローチし
人間の本質を追究する

坂上雅道 教授

研究テーマ
脳科学を通して 人間の情報創成のメカニズムに迫る

 近年、MRI(※1)などの医療機器の進歩により、脳科学の研究は大きく進展しています。これまで考えられなかった学問分野にも、脳科学の成果が応用されるようになりました。中でも著しく発展しているのが、道徳、芸術、経済、法律などの人文科学・社会科学への応用です。
 脳科学といえば生物学や医学の研究対象であり、人文科学・社会科学とは直接の接点を持ちませんでした。しかし、道徳、芸術、経済、法律などは、もとはといえば、人間の脳がつくり出したもの。情報創成こそが「人間」と「動物」との決定的な違いであり、そのメカニズムの解明が脳科学の重要な役割として認識されるようになってきたのです。
 私たちの研究室では、脳科学を通して情報創成のメカニズムを解明すると同時に、これまで接点のなかった「脳科学」と「人文科学・社会科学」を結び付ける枠組みの構築を目指しています。

写真
用語解説
※1 MRI 磁気共鳴画像診断法。電波と強力な磁力を身体に当てることによって、身体の内部をさまざまな角度から断面図として映し出す装置。

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