特集)新課程を機に現行課程を振り返る
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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10分間の朝学習で自信を積み重ねる

 同校の取り組みでもう一つ紹介したいのが、毎日8時10分から10分間行う朝学習だ。英語科担当の辻祐子先生は、朝学習を「生徒が自主的に学びに向かう意識を育てる絶好の機会」だと話す。内容は学年ごとに異なるが、07年度入学生(現在3年生)は1・2年生の間、辻先生の指導の下、英語のサブリーダー(副読本)の読書に取り組んだ。1年間で課題図書を10冊設定。更に課題図書以外にも各教室に40冊ほどサブリーダーを配布し、課題図書を読み終えた生徒はその中から好きな本を選んで読んでよいことにした。
 「生徒が『自分は英語の本を読んだのだ』という達成感を持つことが大切だと考えました。そこでテキストは、古典的な文学作品や自伝など、人間の在り方、生き方を考えさせる作品を中心に選びました。読了後は英語で感想を書かせ、その記録をファイルさせました。すると1日10分間の読書でも、ファイルを読み返せば、自分が積み重ねてきた成果が実感できます。その実感が励みになり、『もっと読みたい』という意欲がわく。挫折しそうになっても、他の生徒の姿を見て、もう少し頑張ろうという気持ちになる。最初は『させられている学習』だった読書が、やがて『自ら進んで取り組む学習』へと変わっていくのです」
 課題図書の総仕上げは『ハリー・ポッター』だ。世界的な人気作品の中から1冊でも読了できれば、生徒にとって相当な自信になり、自慢出来るのではないかと辻先生は考えた。辻先生の期待は見事に当たり、生徒たちは夢中になって『ハリー・ポッター』に取り組み、ほぼ全員の生徒が完読したという。
 生徒の自信は多面的に能力を評価することで促進されているという。
 「GTECのように別の学力尺度も取り入れながら、多面的に評価をすることで、今まで英語があまり好きでなかった生徒にも自信を与えるきっかけができました」(辻先生)

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