大学生の学習・生活実態調査報告書
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第5章 大学生の意識

大学生の社会観と就労観

 大学生がどのような社会観・就労観あるいは自己認識を持っているのかをたずねたところ、現在の日本社会は「競争が激しいうえに努力しても報われるとは限らない」という厳しい現状認識を持っていること、「授業に限らず大学で学んだことは、将来役に立つ」と認識していること、自分自身をあまり積極的ではないと判断していることなどが見出された。

Q
あなたは次のようなことがらについてどう思いますか。それぞれについて、あてはまるもの1つをお選びください。
 現在の大学生は、どのような社会観や就労観、自己認識を抱いているのか。

 図5-1-1によると、全15項目で上位の3項目をみると、「いい友だちがいると幸せになれる」(92.1%、「とてもそう思う」+「まあそう思う」の%、以下同)、「仕事を通じて社会に貢献することは、大切なことだ」(84.4%)、「日本は、競争が激しい社会だ」(79.0%)となっている。また、下位の3項目は「日本は、努力すればむくわれる社会だ」(42.8%)、「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」(41.4%)、「自分は何ごとにおいても積極的だと思う」(38.8%)となっている。

  こうした結果から大学生の意識をまとめると、第1に、現代の大学生には、現在の日本社会は競争が激しいうえに努力しても報われるとは限らないという、刹那主義にも収まりきらない厳しい現状認識があることが垣間みえる。第2に、学生は授業で学んだこと(69.2%)よりも授業に限らず大学で学んだこと(78.1%)のほうが将来役に立つという認識を持っている。第3に、学生は自分自身をあまり積極的ではないと判断している。
図5−1−1 大学生の社会観・就労観(全体)
 また、表5-1-1で性別による違いを検討したところ、全15項目中5つの項目で男女間に5ポイント以上の差がみられた(「とてもそう思う」のみの%)。

  男子のほうが高かった項目は、「将来、一流の会社に入ったり、一流の仕事につきたい」(男子21.2%>女子16.2%、5.0ポイント差、以下同)、「仕事よりも、自分の趣味や自由な時間を大切にすべきだ」(21.9%>15.9%、6.0ポイント差)、「人に迷惑をかけなければ、自分のしたいようにしてよい」(20.0%>13.1%、6.9ポイント差)の3項目であった。

  女子のほうが高かった項目は、「いい友だちがいると幸せになれる」(女子59.7%>男子48.1%、11.6ポイント差、以下同)、「授業に限らず大学で学んだことは、将来役に立つ」(28.0%>21.9%、6.1ポイント差)の2項目であった。男子については、達成動機が高く、その一方自分の私的時間を重要視している傾向、そして女子については、親和動機が高く、大学での学びを有効なものとしてとらえている傾向がうかがわれた。
表5−1−1 大学生の社会観・就労観(性別)
 次に、社会観に関して学校段階別に比較してみるとどのような違いがみられるのかについて検討を行う。

 図5-1-2は、2006年に調査した「第4回学習基本調査」(詳細は図5-1-2の注釈を参照)の結果と比較したものである。一貫して高い値を示しているのは「いい友だちがいると幸せになれる」で、すべての学校段階で「とてもそう思う」と「まあそう思う」を合わせると9割を超えている。

  小学校から中・高・大と段階を追うごとに高くなっているのは「日本は、競争が激しい社会だ」(小54.3%<中65.4%<高75.8%<大79.0%、以下同)と「お金がたくさんあると幸せになれる」(46.1%<56.0%<62.7%<78.6%)であった。逆に、小学校から段階を追うごとに低くなっているのは「日本は、努力すればむくわれる社会だ」(68.5%>54.3%>45.4%>42.8%)であった。
図5−1−2 社会観(学校段階別)
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