第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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 (2) 『学びのすすめ』の学力観と第4回調査の結果

『学びのすすめ』が提案する「確かな学力」は、上述のように、学力低下批判への対応と、子どもへの過度の自主性の尊重(≒教師の受け身的、放任主義的傾向)の修正の試みであるとみることができる。「ゆとり路線」を守り通そうとした文科省の苦肉の策とみることができる。そしてそのような背景から『学びのすすめ』は、なによりもまずきめ細かな指導(=教師の積極的な指導)を求めている。さらに、旧来の指導の原理である〈勤勉主義+教科書(学問)中心主義〉と、古くて新しい指導原理である〈経験主義+児童中心主義〉の両立をはかろうとしていることにその特徴を見い出すことができる。
 文科省ウェブサイトから、「確かな学力」を育てるための具体的な提案をみると、新旧両原理の両立を目指すという特徴が、「きめ細かな指導」「基礎・基本」「学ぶ習慣」「自ら学び自ら考える力」などといった言葉の混在で表現されている。
 小学生版の学習基本調査には、表1-2の文科省提案に対応する学習行動や学習意識をたずねる質問項目が多数含まれている。それらの質問への回答傾向を要約したものが、次に示す表1-3である。この表をもとに、文科省の提案と小学生の学習の変化との関係をみてみよう。なお、この表の元になるデータは、本報告書の関連する項目の分析を参照されたい。
 この表をみると、ほとんどの調査項目で、子どもの学習行動や学習意識は「確かな学力」が求める方向へと改善していることがわかる。すなわち、小学校段階では、文科省のいう「確かな学力」に対応する学習行動と学習意識が広まりつつある。

■表1-2 確かな学力を育てる工夫(文部科学省ウェブサイトより)
表1-2 確かな学力を育てる工夫(文部科学省ウェブサイトより)
■表1-3 「確かな学力」の要素と今回調査結果
表1-3 「確かな学力」の要素と今回調査結果

※経験主義や児童中心主義の考え方は、戦後の一時期(社会科の創設の頃)の日本の教育を方向付けた原理でもある。

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