学習基本調査・国際6都市調査報告書
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7.将来なりたい職業

東京の小学生のなりたい職業をみると、男子は「スポーツ(野球・サッカー)選手」、女子は「保育士」「デザイナー」などが人気だ。「保育士・幼稚園の先生」「ケーキ屋さん・パティシエ」「トリマー」「花屋さん」などは女子におなじみの人気職業だが、他の都市をみると特有の傾向だとわかる。いずれの都市でも共通して人気の職業は男子「スポーツ選手」や「医師」、女子「芸能人」「デザイナー」「医師」「学校の先生」。都市によっては威信が高い職業に人気が集中する傾向にあったり(北京)、反対にあまり威信と関係なく職業を希望する都市(ヘルシンキ)などさまざまである。

 Q.あなたが将来、つきたい仕事は何ですか。できるだけ具体的に記入してください。

■将来なりたい職業の分析

 小学生が将来なりたいと思う職業は、人気の職業であったり、社会的地位や威信が高い職業(「社会階層と社会移動調査研究会」によるSSM調査の職業威信スコア1995年版を参照。厳密には各国で職業威信スコアは異なる)であったりと、それぞれの社会を映し出しているといえる。本項では6都市の小学生の将来なりたい職業をみてみたい。
  今回の調査では、各都市で「あなたが将来、つきたい仕事は何ですか」とたずねている。これに対する自由回答をみてみると、「宮中料理人」(ソウル)、「世界の総司令官」「宋飛のような胡弓演奏者」(北京)、「馬のマッサージャー」「シリアラインの操縦士」(ヘルシンキ)、「ショウジャンパー(障害飛越)」(ロンドン)、「CIA情報員」「ビルゲイツのもとで働く」(ワシントンDC)など、その国(都市)独特の職業や珍回答もみられた。その一方で、各都市で共通して人気がある職業もみられる。そこで、これらの回答を職業カテゴリーに分類し、上位から第20位まで並べる作業を行った。
  回答を職業カテゴリーに分類するにあたっては、基本的には国内調査の分析で使った東京の分類基準を用いている。ただし上記のように各都市独特の職業があったり、回答が集中する職業が異なったりするため、統一した分類を行うことは難しい。東京の分類基準にあわない職業に回答が集中した場合には、職業カテゴリーを新たに設け、再度分類する作業を行った。たとえば東京ではほとんどあがらない「軍隊」などは、回答が多い都市もあるため、新たに設けたカテゴリーである。
  ベネッセ教育研究開発センターが行った「第4回学習基本調査・国内調査」の結果によれば、将来なりたい職業は男子と女子の間で大きく異なる。そこで、今回も各都市における男子の回答と女子の回答を分けて集計を行った。また、「なし」やまだ決まっていない(「不明・不確定」)という回答、無回答、回答の分類ができなかった子ども(「分類不能」)についても、一定の意味を持つと考え、欄外に記した。

■各都市で人気の職業

 各都市で共通して子どもに人気のある職業は何だろうか。6都市すべてで第20位以内に入る職業を性別にみてみた。東京以外の都市についても、男子と女子ではなりたい職業の傾向に違いがみられる。男子にとっては、「サッカー選手」「その他のスポーツ選手」「医師」「学校の先生」「他に分類されない専門職」「法律家」が共通して人気の職業のようだ。
「サッカー選手」はいずれの都市でも男子にとっての人気職業であり、東京第2位、ソウル第2位、北京第13位、ヘルシンキ第1位、ロンドン第1位、ワシントンDC第5位である。サッカー以外のどんなスポーツ選手になりたいかは、各都市で違いがみられる(たとえば、ヘルシンキは「アイスホッケー選手」、ワシントンDCは「フットボール選手」など)。その他「医師」は東京第4位、ソウル第3位、北京第7位、ヘルシンキ第10位、ロンドン第3位、ワシントンDC第4位と各都市共通で上位にあがる人気の職業だ。
   女子では、「芸能人」「デザイナー」「医師」「学校の先生」「作家・小説家」がいずれの都市でも第20位以内に入る人気の職業である。「学校の先生」は東京第8位、ソウル第1位、北京第1位、ヘルシンキ第2位、ロンドン第2位、ワシントンDC第2位と東京ではやや人気が低めであるが、その他の都市では第2位以内に入るなど、非常に人気が高い。毎日接する身近な職業であることや小学校の先生に女性が多いこと、威信が高い職業であることも影響しているのかもしれない。その他、「芸能人」は東京第3位、ソウル第1位、北京第4位、ヘルシンキ第1位、ロンドン第3位、ワシントンDC第3位とすべての都市で第5 位以内に入る。「デザイナー」の人気も高いことから、女子のおしゃれへの関心は各都市で共通のようだ。
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