授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第1章 子どもの家庭学習力を育てる教育の創造

3.教師の家庭学習指導力と授業連動力の構想

では次に、以上に定義した子どもの家庭学習力を育てるために必要となる教師の働きかけを、私たち総合学力研究会は、教師の「家庭学習指導力」および「授業連動力」と名付けて、その状況と子どもの家庭学習力との関係を明らかにすることにした。なぜなら、子どもの家庭学習のあり方を改善し、家庭学習力を育てるためには学校での教師の指導が必要であると考えたからである。

そこで、教師の「家庭学習指導力」「授業連動力」を構想するにあたって、子どもの家庭学習力を構想する際に総合学力モデルを参考にしたのと同様に、大人の総合教育力における「教師の指導力(FANモデル)」を参考にした。(4)

この「教師の指導力」モデルは、子どもの総合学力を育てるために必要な、教師の豊かな指導力を構想して作られていて、そこに含まれる6つの領域は、「学習の土台作り」「指導の土台作り」「プロジェクト的指導」「プログラム的指導」「学習ガイダンス」「形成的評価と指導」である。(1)教師の家庭学習指導力とはこの6つの領域にあわせて、教師の「家庭学習指導力」の領域を構想すると、次のような6領域となった(全体像は第2章1節の図表2-1-5を参照)。

(1)教師の家庭学習指導力とは

この6つの領域にあわせて、教師の「家庭学習指導力」の領域を構想すると、次のような6領域となった(全体像は第2章1節の図表2-1-5を参照)。

1 家庭学習の習慣化促進

まず教師が子どもの家庭学習力の向上のために取り組むべきことは、子どもが家庭学習に継続的に取り組めるように働きかけることである。そこで、第1の領域に、「家庭学習の習慣化促進」という指導項目を置いた。

ここに含まれる具体的な下位領域は、「学習習慣」「読書習慣」「自主的学習」「自己マネジメント力」とした。もちろんこれらの領域名は、それぞれの子どもの力を教師が育てるという意味で付けている。

つまりこの領域では、子どもが家庭学習をこつこつと続けていくために必要な工夫や方法について、教師がどのようにして教科指導の中やホームルームの時間に子どもに具体的に指導すればよいのかについて示している。

例えば、家庭での予習や復習の効率的な方法、家庭で読んで欲しいお薦めの本、宿題以外の学習の仕方、そして時間の効率的な活用等について具体例をあげながら解説をすることで、子どもたちがより明確に家庭学習の進め方を理解することができるようになることが大切なのである。

2 自作教材やノート活用の工夫

次に大切なことは、子どもの家庭学習を促進するために教師が自作プリント教材を工夫して作ったり、子どもにノート整理の仕方を教えたりすることである。そうした子どもが家庭で使う教材や学習材に関する配慮が、家庭学習をさらに充実したものにしていくのである。

具体的な下位領域は、「ノート等の活用」「自作教材の作成」「教師間の協議・連携」「ICTの活用」の4領域である。

この中で、「教師間の協議・連携」とは、宿題の出し方や家庭学習の進め方について教科間のバランスや一貫性を持たせたり、あるいは学級間でのばらつきをなくしたりするための話し合いのことである。さらに理想的には、各学校で宿題の出し方や家庭学習のさせ方について全教員が一致して取り組む統一的な方法や基準を決めておくことも、子どもの家庭学習を充実させるために効果的である。

もう1つの「ICTの活用」についてはまだ進んでいない学校が多いと思われるが、今後は教師の作業負担の軽減のために自作教材のデジタル化を推進したり、子どもが意欲的に取り組めるコンピュータ教材を宿題に出したりすること等が考えられるだろう。

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