授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第2章 授業改善と結びつけた家庭学習充実の取り組み構造モデルの提唱
−「学力向上のための基本調査2008」の設計と結果概要

2-1 家庭学習充実の取り組みに関する構造モデルの設計


Benesse 教育研究開発センター主任研究員 田中勇作

はじめに

「総合学力研究会」(代表:早稲田大学大学院教授 田中博之、事務局: Benesse 教育研究開発センター)では、「学力向上のための基本調査2003」を通して、「教科学力」「学びの基礎力」「社会的実践力」からなる「総合学力モデル」による子どもたちの多面的・総合的な学力実態の把握の重要性について言及した。また、同基本調査2004では、その総合学力の確かな育成に向けて「教師の指導力」「家庭の教育力」および「学校の経営力」の3者の協働による「総合教育力」の構築の重要性について客観データに基づく学力向上に向けての提言を行った。

ここ数年、学校現場においては「授業力の向上」という大方針のもとに、子どもたちの学力実態を総合的にとらえ、その課題の解決に向けて授業の見直しや具体的な改善の取り組みが積極的になされ、着実な成果があがった事例が数多く報告されている。

しかし、第1章でも述べられているように、個々の教師による授業改善への取り組みだけでは「豊かな学力を確かに育成する」には決して十分とはいえない。文部科学省の「全国学力・学習状況調査」の学校質問紙調査の結果からも、授業改善の様々な取り組みに加え、保護者・家庭を巻き込んだ家庭学習の充実への取り組みが重要なキーとなっていることがうかがえ、改めて「教師の指導力」「家庭の教育力」そして両者を一層高めて行く「学校の経営力」のバランスのとれた伸張が重要であることがわかる。

そこで、今回の「学力向上のための基本調査2008」では、「授業と連動した家庭学習の充実を図ることが、学校における日々の授業の改善の成果をより一層高め、子どもたちの総合学力を向上させる」という仮説のもと、これまでに検証してきた「総合学力モデル」および「総合教育力モデル」を敷衍した「家庭学習の充実に関わる総合的な取り組みモデル(家庭学習教育力モデル)」を構想し、教師・校長・保護者のどのような働きかけが子どもたちの総合学力の向上と関連しているのかを明らかにすることを目指した。

本節では、第1章で田中博之先生からご報告いただいた、子どもの「家庭学習力」や教師の「家庭学習指導力」、保護者の「家庭学習支援力」および校長の「家庭学習充実に関する経営力」といった新たな概念を踏まえ、今回の「学力向上のための基本調査2008」における基本仮説や構造モデルについて説明する。

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