授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第2章 授業改善と結びつけた家庭学習充実の取り組み構造モデルの提唱

2-3 子どもの家庭学習と総合学力との関係


ベネッセ教育研究開発センター 小林洋

はじめに

今回の調査は、本章第1節で述べているように学校の授業を基盤とした家庭学習充実の大切さを実証することをねらいとしている。ここでは、まず子どもに対する調査から、家庭学習の取り組み状況を概観し、総合学力(教科学力・学びの基礎力・社会的実践力)との関係を探るとともに、どのような家庭学習が子どもを学びへと向かわせ、効果を実感させるものとなるのかを調べる。加えて、今回の調査で新しく導入した概念である「家庭学習力」と総合学力との関係を調べ、家庭学習充実の指導を考えるうえでの参考材料を提供することを目的とする。

1.家庭学習・宿題の取り組み状況と総合学力との関係

【1】「家庭学習」「宿題」とは何か −今回の調査における家庭学習モデル

調査の結果を報告するに先立ち、今回の調査においての「家庭学習」や「宿題」の捉え方を述べておきたい。

図表2-3-1は、「家庭学習」と「宿題」ならびに「学校の授業」との関係を概念的に示したものである。家庭学習は、一般に「宿題」と「宿題以外の家庭学習」に大別される。宿題は、教師の直接的な指示・管理のもとに行われる家庭学習であり、学校の授業の指導プロセスの一部を構成しており、基本的に授業の一環としての性格を有するものである。宿題に対しては、点検・評価・フォロー指導が加えられ、また、宿題の成果を直接・間接に踏まえた授業展開が行われる。

他方、「宿題以外の家庭学習」には、教師の直接的な指示を伴わない子どもの自主的な家庭学習(自学自習)や通塾による学びなどを含む。この「宿題以外の家庭学習」に対しては、教師による内容や提出期日の直接的な指示・強制の対象とはならない。しかし、自主的な家庭学習として相応しい内容の例示やその進め方、家庭学習の計画づくりの指導、ならびに計画通りの学習が進んでいるかどうかのチェックや励ましなど、子どもの自主的な学習習慣の発達度合いに応じた教師の指導性の発揮が期待されるもので、必ずしも教師の無関与を前提とした学習ではない。

上記のような家庭学習・宿題や授業の捉え方と異なり、学校の授業は基本的に学校内部で完結させることが望ましく、家庭学習については学校の関与の対象外とすべきという考え方もある。しかし、家庭における子どもの学習や生活の在り方は、教師が意図するかしないかに関わらず学校の授業に直接・間接に影響を及ぼし、学校の教育達成水準を左右することを考えると、学校と家庭とは本来分離させて考えることはできないものではないだろうか。家庭と学校とは、子どもの生活・学習システムとして一体なものである。一方の在り方が他方に影響する。総合学力研究会では、この両者の有機的な連携の充実=授業と結びつけた家庭学習の充実が、日本の子どもたちの学力や望ましい資質を伸ばしていく重要なキーであるという仮説に立ち、この立場からの調査の設計を行っている。

図表2-3-1:家庭学習・宿題・授業の関係

注) 総合学力研究会の木原俊行教授と重松昭生教諭が提示された案に基づき討議した内容を踏まえて作成した(図表2-3-2も同様)。「宿題以外の家庭学習」の中には塾等での学習を含む。また、宿題が、学校の休み時間や放課後等になされる場合も、家庭学習としての宿題とみなす。なお、この図は各学習の相互の包含関係を表したものであるが、量的な関係を示すことを意図したものではない。詳細は本文参照。

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