授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第4章 家庭学習充実と授業改善を結びつけた取り組み−実践編

第4章 家庭学習充実と授業改善を結びつけた取り組み
       −実践編

4-1 梅島小学校の「夢プラン構想」実現に向けた取り組み


東京都足立区立梅島小学校前校長 川上彰久

はじめに

本校では研究を中核とした学校経営を推進している。研究推進の究極の目的は授業を改善し、激動する国際社会の中で子どもたちにたくましく生きる力を身に付けさせることである。研究を通して教師の実践的指導力を向上させるとともに家庭学習を充実させ、授業の質を高めることを目指している。

家庭は、子どもにとって基本的な生活習慣等を身に付け、家族愛の中で心の居場所を見いだす場であり、子どもの教育の原点であると同時に最終責任者である。子どもは、家庭でのしつけを基盤として、学校や地域、社会での集団生活のルールやマナーを身に付ける。そして、学校で、自立した人間として社会で活躍をするために必要な知識や技術を学び、集団の中で人間関係の基礎を身に付け、社会へ巣立つ準備をする。しかしながら現状を見るに、家庭を取り巻く教育環境が変化し、家庭事情の狭間に生きる子どもの実態がある。家庭環境がそのまま学校生活に反映し、学級担任が苦慮する場面が少なくない。

前任校では、二学期制を先駆的に実施し、学校と家庭・地域が協働して学力向上を目指して特色ある教育活動に取り組んだ。家庭学習充実のために、啓発資料「家庭学習のすすめ」を作成して、全家庭に配布し、個人面談や保護者会の資料として活用するなどして成果を上げた。また、PTAや地域関係者からなる子育て委員会を立ち上げ、子育て相談やケース会議を行い解決を図った。その実践は、文部科学大臣の話題に取り上げられ、また、東京都教育委員会学校褒賞の授与の対象ともなった。その体験が、現任校の学校経営の基底に流れている。

本校は、東武伊勢崎線梅島駅に隣接し、近代的な施設・設備を備えた児童数が700名を超える大規模校である。学校選択制自由化のため広範囲な通学区域、保護者の意識も多様であり中学進学に対する期待も高い。併せて特に配慮を要する子どもの指導も課題である。

平成20年度は学校創立120周年にあたり記念式典と研究報告会の実施を計画した。そこで、学校の実態を分析して学校経営戦略を練った。そして、夢プラン構想を立案。新学習指導要領の理念であるPISA型「読解力」の考えに基づいた「聴いて、考え、伝え・深める」授業を追究する。さらに、120周年事業と関連させて指導を展開し、夢や想いを育み、人間としての学びの基礎力を育成する。そのためには、教師が思考力・表現力を高める授業改善を図るとともに、学校経営方針に家庭学習の充実を明確に位置づけ、学校と地域・家庭が一体となって創意ある教育活動に取り組むことにした。

1.実態の把握

【1】学校の状況
  • 足立区のコアスクール指定校であり、研究開発・現職研修に力を入れている。
  • 国立私立中への志願者が多い。生活態度は比較的落ち着いており、学力は、区平均以上だが、言語事項や応用力に課題がある。
  • 区域外通学が3割弱、登下校の交通安全と生命安全確保、学校外の生活指導に配慮を要する。
  • 経験年数が浅い若手の教員が多い。算数における少人数習熟度別指導、一部教科担任制などチームで指導する協働指導体制の素地はできている。指導力向上と授業改善が課題である。
  • 保護者は、教育に関心が高く期待も大きい。PTA活動は組織的に行われているが、大規模校のため運営に苦心している。地域の方々は学校に協力的である。
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