授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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  第5章 家庭学習力向上への学校・教師の取り組み−家庭学習力向上へのトータルデザイン

5-2 自己マネジメント力が子どもの総合学力を伸ばす

早稲田大学大学院教職研究科教授 田中博之

はじめに

私たち総合学力研究会(事務局:Benesse 教育研究開発センター)が行った今回の学力調査における新提案は、「家庭学習力が、子どもの総合学力を伸ばす」というメッセージである。つまり、子どもが学校だけでなく、家庭という癒しと団らんの場においても、しっかりとした学習を自律的・主体的に行うことが、その子の学力向上に大きな影響を与えるという仮説である。

しかも、この家庭学習力は、学校の学力水準や子どもの進路選択力の向上を左右するだけでなく、この変化の大きな21 世紀社会において必要とされる生涯学習力の基盤になるという提案も重要な仮説であると考えた。

そのような課題意識のもとに今回の学力調査を行ったところ、前章までに見られるように、子どもの家庭学習力は総合学力モデルに含まれるほとんどの学力要素としての変数と強い相関関係にあることがわかった。つまり、私たちが子どもの家庭学習力の大切さを提案したときに構想した研究仮説は、ほぼ肯定的に支持されたといってよい。

そこで本研究のまとめとして、もう少し深く考えてみると、では子どもの家庭学習力を構成する多くの学力要素の中で、子どもの生涯学習力につながる最も重要なのはどの要素なのだろうという問いが生まれてくる。

このような問いに対して、私たちは、それは子どもの自己マネジメント力であると提案したい。家庭という学びの場こそ、子どもたちが自由に自らの学びをデザインし自分らしく学べる場なのである。逆にいえば、子どもたちが家庭においてこそ、自分らしく学ぶための力を身に付けて、自分の将来の夢や希望をかなえる基盤をじっくりと形成して欲しいのである。

そこでこの節では、子どもの自己マネジメントの構造と、それを身に付ける意義、そしてそれを育てる教育のあり方について考えてみることにしよう。

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