神奈川県の公立中学校の生徒と保護者に関する調査報告書

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 神奈川県の公立中学校の概要

ここでは、本調査の対象となっている神奈川県公立中学校の生徒に関する基本的な情報とデータを紹介する。

1.データでみる神奈川県の公立中学校と生徒

ここでは、文部科学省が昭和23年より、毎年5月に実施している学校基本調査のうち、平成21年度の神奈川県集計分のデータをもとにして、神奈川県の公立中学校の現状を、データを通して概観する。図1図2は、神奈川県(2009)のうち、神奈川県の中学校数と生徒数に関して集計されたデータをグラフにしたものである。

まず、中学校数は480校(うち分校1校)と、平成20年度に比べて1校増加している。設置者別にみると、国立が2校、公立が414校でいずれも平成20年度と同数であるが、私立は64校で平成20年度に比べて1校増加している。中学校と高等学校の設置者が同じで、基本的に無選抜で進学できる「併設型」の中高一貫教育を行っている学校は18校あり、すべて私立学校である。これは平成20年度に比べて3校増加している。中学校と高等学校の設置者が異なり、教員の交流などを行っている連携型の中高一貫教育は平成21年度より実施され、公立学校4校が行っている。

また同調査によると、生徒数は23万944人で、平成20年度に比べて2,824人(1.2%)増加している。設置者別にみると、国立が907人で前年度より4人減少、公立が20万2,128人で2,476人増加、私立は2万7,909人で352人増加している。私立学校生徒は神奈川の全中学生のうち、12.1%を占めており、これは前年度、また5年前の平成16年度と比較しても同率であり、10年前の平成11年度と比較すると1.2ポイント上昇している。また全国平均との比較を行うために文部科学省(2009)を見ると、日本全国で、中学校は全部で1万864校あり、中学校数、中学校生徒数を設置者別にみると、国立は75校(0.7%)、3万2,460人(0.9%)、公立は1万44校(92.5%)、330万8,105人(91.9%)、私立は745校(6.9%)、25万9,758人(7.2%)となっており、これに比べて神奈川県はやや私立の割合が高いと言える。

その他、日本全体の1学級あたりの生徒数の平均が29.7人であるのに対し、神奈川県は31.8人と、東京都・埼玉県に次いで全国で3番目に多い。また、日本全体の教員1人あたりの生徒数の平均が14.4人であるのに対し、神奈川県は16.3人で、これはやはり埼玉県・東京都に次いで全国で3番目に多い。

2.神奈川県の教育の現状

ここでは、近年の神奈川県の教育の現状を把握するための情報として、現在の取り組みや課題について紹介する。

(1)「かながわ教育ビジョン」

「かながわ教育ビジョン」は、神奈川県教育委員会が、県民との共同作品とするために、約2年にわたり、フォーラムやワークショップ、教育イベント等を継続的に開催し、さらに県民論議や各関係団体との意見交換を進め、策定されたもので(平成19年8月)、人づくりにかかわる様々な方々との協働と連携の拡大と、実効性のある教育政策の推進を目的としている。

(2)神奈川県らしい教育に生かしたいもの

神奈川県(2006)によれば、「神奈川県らしい教育に生かしたいもの」について、教員、保護者、学校評議員に聞いたところ、三者共に「個性豊かでたくましい人づくり」と回答した割合が40.2%と最も高くなっており、次いで「社会のグローバル化に対応した国際理解や外国語コミュニケーション」が30.7%となっている。

これらの背景には神奈川県でも徐々に加速化している少子高齢化(図3)や、外国籍県民の増加・定住化による外国人児童や生徒の増加といった問題(図4)が、教員や保護者、学校評義員といった学校関係者の気持ちにも反映されているのかもしれない。

図1 神奈川県における中学校数の内訳 図2 神奈川県における中学校生徒数の比率
図1 神奈川県における中学校数の内訳 図2 神奈川県における中学校生徒数の比率
(平成21年度神奈川県学校基本調査より)

 

図3 年齢3区分別人口(県の人口推計)

図3 年齢3区分別人口(県の人口推計)

図4 日本語指導が必要な外国人児童・生徒の受け入れ状況(神奈川県)

図4 日本語指導が必要な外国人児童・生徒の受け入れ状況(神奈川県)

(3)暴力行為・不登校の問題

神奈川県教育委員会教育局(2009)の速報値によれば、平成20年度の神奈川県内の中学校での暴力行為の発生件数は6,736件であり、この数は年々増えている。また文部科学省(2009)によれば、都道府県別不登校児童生徒数は、神奈川県は小学校で2,065人、中学校で8,309人、1,000人あたりの不登校児童生徒数は14.5人と全国最多である。

実際に、先述した神奈川県(2006)の調査では、「県が取り組むべき施策」について、同じく教員、保護者、学校評義員に尋ねたところ、全体の6割以上を占めた「少人数学級などきめ細かな学習指導の充実」に続き、全体の5割以上が「いじめ・暴力行為、不登校などへの対応」と回答している。

 

〈参考資料〉
神奈川県、2006、『教育に関する学校関係者意識調査 http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/40/4001/tyousa/gakkou.htm』
神奈川県、2009、『平成21年度神奈川県学基本調査結果報告』 http://www.pref.kanagawa.jp/tokei/tokei/206/g21kak/21top.html
神奈川県教育委員会、2007、『かながわ教育ビジョン――心ふれあう しなやかな 人づくり http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/40/4001/forum/bijon.pdf』
神奈川県教育委員会教育局子ども教育支援課児童生徒指導室、2009、「平成20年度 児童生徒の問題行動等生徒指 導上の諸問題に関する調査の結果について(神奈川県公立学校分) http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/40/4027/ijime/h21kouritu.pdf」

文部科学省、2009、『平成21年度学校基本調査結果報告 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/12/18/ 1288104_1.pdf (PDF)』
文部科学省初等中等教育局児童生徒課、2009、『平成20年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/08/__icsFiles/afieldfile/2010/03/12/1282877_1.pdf (PDF)』

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