学校外教育活動に関する調査

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【6】 小学生の塾や習い事(前篇) ―4年生からスポーツより勉強


Benesse 教育研究開発センター 研究員 鈴木尚子

小学1年生から小学6年生の学校以外における教育活動の状況をみてみましょう。母親の意識、教育費、塾や習い事の状況の順番にデータを紹介します。ご紹介するデータには、小学生の母親の意識や行動が学年とともに徐々に学習へとシフトしていくようすがあらわれています。とくに高学年の活動は、一部中学受験の影響を受けています。このことに関しては、次章でご報告します。

◆母親の意識 ―子どもの教育について不安が高まる―

image図6−1〜4は子どもの教育に対する母親の意識です。「学校が楽しければ、成績にはこだわらない」(「とても+まあそう思う」、以下同様。小1生53.8%→小6生35.4%)という回答は、学年とともに減少し(図6−1)、「子どもの将来を考えると、習い事や塾に通わせないと不安である」(小1生48.5%→小6生60.3%)という回答が逆に増えていきます(図6−2)。

小1生から小6生にかけて「学校の指導や取り組みに対して満足している」(小1生67.8%→小6生49.3%)の回答が減る一方で(図6−3)、「子どもにはできるだけ高い学歴を身につけさせたい」(小1生55.8%→小6生63.1%)は徐々に増えていきます(図6−4)。学校に対しては満足度が低下する半面、学歴の効用に対しては肯定的にとらえているようです。

◆教育費 ―小4生から支出が増加していく―

図6−5は授業料、塾や習い事などを含めた子ども1人、1か月にかかる教育費です。小1生から小6生まで、最も多い回答は「1万円〜2万円未満」です。しかし、「5万円以上」1)の回答は小1生〜小3生が10%前後であるのに対し、小4生15.2%、小5生19.4%、小6生20.1%と小4生くらいから教育支出が増加していきます。

授業料を含む教育費の平均を学年ごとにみてみましょう。平均をみると、小1生は22,500円ですが、小4生、小5生にかけて3万円前後まで上がります。ただし、分布でもみたように、教育支出は小学校を通して「2万円未満」2)という回答が約半数または半数以上です。一部の高額支出者が平均を押し上げていることがわかります。

◆小学生の活動 ―スポーツは中学年から下降、塾・教室は高学年に向けて上昇―

小学校生活を通して、スポーツ活動と家庭学習活動は学校外でも比較的幅広く行われている活動です(図6−6)。塾などの教室学習活動は低学年では3割〜4割ですが、学年を追うごとに増加し、小6生では6割にまで上がります。一方の芸術活動は、3割台にとどまります。解説・提言1でみたとおり芸術活動は性差が大きいことも特徴の1つです。

スポーツ活動と、塾などの教室学習活動についてもう少し詳しくみてみましょう。スポーツ活動は小3生(72.4%)、小4生(72.1%)以降減少し、小6生では63.3%までになります。反対に、塾などの教室学習活動は年々伸びていきます。小4生くらいから子どもの活動が学習へとシフトしていくようすがはっきりとあらわれています。親の意識をみても「運動やスポーツをするよりももっと勉強してほしい」という回答が小4生くらいから多くなります(図表省略)。このような親の思いも、子どもの活動状況に関係があるでしょう。

◆活動ランキング ―人気スポーツはスイミングやサッカー、芸術は楽器の練習・レッスン―

小学生のスポーツ・芸術活動について、ランキングのかたちでみてみましょう(図6−7図6−8)。活動率と、それぞれの活動に対して1か月に支払う平均費用を示しています。

小学生ではスポーツ1位がスイミング(35.5%)で、3人に1人が行っています。2位はサッカー/フットサル(10.7%)。この2つのスポーツが小学生のスポーツ活動の大半を占めています。幼児期に人気であった体操教室・運動遊び(幼児15.0%→小学生5.5%)は、小学生では5位に後退しますが、そのかわり、硬式野球/軟式野球/ソフトボール(6.6%)や空手(6.4%)が上位にあらわれます(図6−7)。

陸上競技/マラソン800円からスキー/スノーボード10,200円など、活動によってかかる費用の差は大きいようです。第1位のスイミング3)にかかる費用は1か月平均6,400円。主に民間が担うためか、ほかのスポーツと比べても安価とはいえません。地域ボランティアが中心の野球4)は2,800円、民間と地域のボランティアが中心のサッカー5)は4,100円と、どのような団体が活動を担うかにより、費用は異なるようです。

芸術活動はどうでしょうか。楽器の練習・レッスン(24.3%)は突出し、小学生ではおよそ4人に1人が行っています。つづく絵画/造形(3.5%)、バレエ(3.3%)は少数の活動にとどまります。また、これら上位3つの活動にかかる費用は、楽器の練習・レッスン7,100円、絵画/造形4,000円、バレエ11,600円です(図6−8)。

◆学校外教育費 ―支出の重点は低学年ではスポーツ、高学年では学習にうつる―

これまでみてきた活動にかかる費用はどのくらいでしょうか。図6−9は授業料などを含まない教育費の分布です。小1生から小6生まで最も多いのは、1万円台。ただし、学校外教育費を3万円以上かけている人は小1生では6.7%ですが、小6生では23.6%まで拡大します。これにより平均は小1生12,300円→小2生14,700円→小3生15,800円→小4生19,500円→小5生22,200円→小6生22,500円と、学年が上がるにつれ増加していきます。

平均費用を分野ごとにみてみましょう。小1生では12,300円のうち、最も支出が多かったのはスポーツ活動の費用(4,500円)です。この傾向は小3生までつづきます。しかし、小4生以降、塾などの教室学習活動の費用(小4生は19,500円のうち8,000円)に中心がうつるようすがみてとれます(ベネッセ教育研究開発センター『子どものスポーツ・芸術・学習活動データブック』2009)。

このような小学校の高学年の教育行動は一部の中学受験層の影響もありそうです。次章ではこの点を中心に報告します。

<注>
1) 5万円以上は「5万円〜6万円未満」「6万円〜7万円未満」「7万円〜8万円未満」「8万円〜10万円未満」「10万円以上」の回答。
2) 2万円未満は「5千円未満」「5千円〜1万円未満」「1万円〜2万円未満」の回答。
3) 小学生のスイミングを主として担うのは、「民間企業が経営する団体・教室」(77.6%)。
4) 小学生の硬式野球/軟式野球/ソフトボールを主として担うのは「地域や保護者のボランティアが行っている団体・教室」(49.8%)。
5) 小学生のサッカーを主として担うのは、「地域や保護者のボランティアが行っている団体・教室」(30.0%)、「民間企業が経営する団体・教室」(21.7%)。
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